2017 / 2018 / 2020 / 2021
38 試合制 J1 史上最高記録
席Uvance とどろきスタジアム
(旧 等々力陸上競技場)
クラブの原点
王朝の幕開け
J1 史上最強の支配
クラブ史と “Frontale” — 70 年の歩み
川崎フロンターレの起源は、1955 年に発足した富士通サッカー部に遡る。本拠地は神奈川県川崎市で、富士通の川崎工場の従業員を中心としたクラブとして長く日本リーグ・JFL で活動。1999 年に J リーグ参入を果たし、2000 年に J1 昇格を達成するも 1 年で J2 降格を経験。2004 年に J1 復帰、2005 年から現在まで J1 一筋の歩みを続けている。
クラブ名「フロンターレ(Frontale)」はイタリア語で 「正面」「前線」を意味し、攻撃的な姿勢を象徴している。チームカラーは スカイブルーとブラック、マスコットキャラクターとしてイルカをモチーフにした 「ふろん太」「カブレラ」「ワルンタ」などが有名で、地域に根ざしたファミリー層への広報活動で高い支持を得ている。
本拠地は Uvance とどろきスタジアム(旧称:等々力陸上競技場)、川崎市中原区に位置する市民の憩いの場でもある。2023 年度以降のスタジアム改修で命名権契約締結、ハイブリッド芝・新 VIP エリア・屋根付きエリアなど観戦体験が向上した。収容能力は 約 27,495 席、市民の運動会・陸上競技会など他競技イベントとも共存する「市民球技場」として定着している。
関塚隆 6 年体制と初の黄金期 2004-2010
クラブ初の黄金期を築いたのは 関塚隆監督(2004-2010、約 6 年体制)。J1 / J2 を行き来していた時期、関塚は 2004 年に J1 昇格を実現し、2009 年には J1 リーグ準V(年間 2 位)を達成。当時のチームを牽引したのは 中村憲剛、ジュニーニョ、我那覇和樹、レナチーニョ、谷口博之、小宮山尊信、佐原秀樹ら。攻撃的なポゼッションサッカーで「川崎流」の原型を作り上げ、後の鬼木黄金期へとつなぐ重要な基盤を築いた。
2010 年以降、相馬直樹 → 風間八宏 → 鬼木達と監督が交代し、特に 風間八宏(2012-2016)はテクニックを重視した独特の戦術(「止めて蹴る」をベースとした技術主義)で 中村憲剛・小林悠・大島僚太・登里享平・車屋紳太郎ら若手の技術を一段引き上げた。風間体制で 2016 年に J1 準V+ナビスコカップ準Vを達成し、タイトル獲得に最も近づいた。風間が 2017 年に退任した後を継いだのが 鬼木達だ。
鬼木達 8 年体制と J1 4 冠(2017-2024)
鬼木達(1974 年生、東京都出身)は、現役時代を JEF 市原・川崎フロンターレで過ごし、引退後に川崎でコーチを経験。2017 年 1 月にトップチーム監督就任、わずか 1 年目で クラブ史上初の J1 制覇を達成した。最終節 NewMatch で大宮アルディージャを破り、得失点差で逆転優勝という劇的決着だった。
以降 2018 / 2020 / 2021 と通算 4 度の J1 制覇、2019 ルヴァンカップ、2020 / 2023 天皇杯、2021 富士ゼロックス スーパーカップと国内主要タイトルを次々に獲得。特に 2020 シーズンは、コロナ禍の特殊事情に対応しながら、38 試合制 J1 史上最強の数字(勝点 83・26 勝・88 得点・31 失点・得失点差 +57)を達成。鬼木 8 年体制で クラブ史最大の黄金期を築いた。
中心選手は 中村憲剛、小林悠、家長昭博、大島僚太、谷口彰悟、車屋紳太郎、登里享平、田中碧、守田英正、旗手怜央、三笘薫、宮城天、橘田健人、脇坂泰斗ら。鬼木の戦術 — 4-3-3 / 4-2-3-1 をベースとした流動的ポジショナルプレー、ハイプレス、縦パスの精度、サイドからのカットイン — は、現代日本サッカーの最高峰として国内外から高い評価を受けた。Pep Guardiola 流のポゼッション原則を日本の選手で実装した先進的な試みとして、J リーグ史的にも重要な遺産となった。
2024 年シーズンは 主力流出と世代交代の遅れで J1 8 位と、鬼木時代としては最低の成績で締めくくった。2024 年 12 月、鬼木達は鹿島アントラーズへの移籍を発表し、後任に 長谷部茂利(元アビスパ福岡監督)が招聘された。鬼木は 2025 年に鹿島で 1 年目 9 回目王座を達成、史上初の複数クラブ J1 優勝指揮官となった(同年の鹿島記事参照)。
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2020 史上最強シーズン — 勝点 83・26 勝・88 得点
| 項目 | 2020 川崎の数値 | J1 史上の位置づけ |
|---|---|---|
| 勝点 | 83pt | 38 試合制 J1 史上最多 |
| 勝利数 | 26 勝 | 38 試合制 J1 史上最多タイ |
| 得点 | 88 G | 38 試合制 J1 史上 3 位 |
| 失点 | 31 G | リーグ最少(守備堅守) |
| 得失点差 | +57 | 38 試合制 J1 史上最高 |
| 連勝記録 | 12 連勝 | J1 史上 3 位タイ |
| 2 位との差 | + 18pt | 圧倒的支配 |
2020 シーズンの川崎フロンターレは、J リーグ 30 年史上「最強」と評価される圧倒的なシーズンを達成した。コロナ禍による無観客試合・特殊レギュレーション下にもかかわらず、勝点・勝利数・得失点差で歴代記録を更新。優勝の決定的瞬間は第 30 節(11 月 25 日)の対 G 大阪戦、5-0 で大勝して優勝確定。シーズン後半の調整が利かないほどの圧倒的差を 2 位ガンバ大阪につけた。
中心選手は レアンドロ・ダミアン(CF)、小林悠、家長昭博、田中碧、守田英正、大島僚太、三笘薫、中村憲剛(最終年)、谷口彰悟、車屋紳太郎、ジョン・ジョンス、奈良竜樹、登里享平、ソンリョン。中村憲剛の引退試合となる第 38 節は等々力スタジアムでの感動的な瞬間として J リーグ史に刻まれた。
三笘 / 田中碧 / 守田 / 旗手 — 欧州への “世界輸出工場”
川崎フロンターレの第三の偉業は、欧州トップリーグで活躍する日本人選手の “輸出工場” としての機能だ。鬼木時代に育てられた選手たちが、次々と欧州のトップクラブで主力として活躍している。
| 選手 | 川崎在籍 | 現所属 | 主な実績 |
|---|---|---|---|
| 三笘薫 | 2018-2021 | Brighton & Hove Albion(PL) | PL 25G 超、日本代表エース左ウイング |
| 田中碧 | 2018-2021 | Leeds United(PL) | Düsseldorf → Leeds、日本代表中盤の中核 |
| 守田英正 | 2018-2020 | Sporting CP(ポルトガル) | 2024-25 ポルトガル 1 部優勝、日本代表ボランチの絶対的中核 |
| 旗手怜央 | 2020-2021 | Celtic(スコットランド) | スコットランド 1 部複数回優勝、日本代表 MF |
| 谷口彰悟 | 2014-2022 | Al-Rayyan(カタール) | 2022 W 杯日本代表 CB、現中東で経験継続 |
| 板倉滉 | U-18 出身 | Ajax(オランダ) | Mönchengladbach → Ajax、日本代表 CB の中核 |
| 高井幸大 | 2022-2024 | Tottenham Hotspur(PL) | 2024 夏に PL 移籍、若き CB の世代交代の象徴 |
特に 三笘薫は、川崎フロンターレでテクニックとドリブルを開花させ、2021 年に Sint-Truiden レンタル → Brighton 完全移籍へと進み、現在は PL 屈指の左ウイングとしてイングランドで活躍している。守田英正は Sporting CP で 2024-25 ポルトガル 1 部リーグ優勝を経験するなど、欧州トップレベルで継続的な実績を残している。川崎は 日本サッカー史上最も “世界輸出力” の高いクラブとして地位を確立した。
長谷部茂利体制と 2026 シーズン再建
長谷部茂利(1971 年生、福井県出身)は、現役時代を松下電器(現ガンバ大阪)・名古屋グランパスで過ごした守備的 MF。引退後の指導者キャリアでは、水戸ホーリーホック・アビスパ福岡で監督経験を積み、特にアビスパ福岡では 2020 J2 優勝+ J1 昇格、2021 J1 残留+ 2023 ルヴァンカップ優勝という結果を残し、地方クラブを成長させる手腕で評価されていた。
2024 年 12 月、鬼木達の鹿島移籍を受けて長谷部茂利が川崎監督に就任。鬼木時代のコーチ経験もあるため、戦術的継承性も期待されている。長谷部の特徴は 「守備の組織化+カウンター+セットプレー」のリアリスト戦術で、福岡時代に小予算でも結果を出してきた指導力が、川崎の世代交代期に活かされている。
2025 シーズン(長谷部 1 年目)は、世代交代の影響もあり J1 中位〜上位の戦い。2026 シーズン(長谷部 2 年目)は、ACL Elite 出場と J1 上位フィニッシュの両立を目指す再建モードが本格化している。
2025-26 主力ロスター(10名)
J1 順位推移と通算 4 冠の系譜
| シーズン | 順位 | 勝点 | 監督 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2009 | 2位 | 71pt | 関塚 | 初の準V |
| 2016 | 3位 | 72pt | 風間 | 3 度目の準V、優勝逃す |
| 2017 | 優勝 | 72pt | 鬼木 | クラブ史初の J1 制覇 |
| 2018 | 優勝 | 69pt | 鬼木 | 連覇達成 |
| 2020 | 優勝 | 83pt | 鬼木 | 38 試合制 J1 史上最強の記録 |
| 2021 | 優勝 | 92pt | 鬼木 | 4 度目制覇 |
| 2022 | 2位 | 66pt | 鬼木 | 横浜 FM 68pt に屈する |
| 2023 | 8位 | 49pt | 鬼木 | 天皇杯優勝で立て直し |
| 2024 | 8位 | 52pt | 鬼木 | 鬼木 最終年・退任発表 |
| 2025 | 上位 | — | 長谷部茂利 | 長谷部 1 年目 / 再建モード開始 |
通算 4 度の J1 制覇は 2017 / 2018 / 2020 / 2021 = 5 シーズンで 4 度という驚異的なペース。鬼木達の在任 8 年で達成した実績で、特に 2020-21 の連覇は J リーグ史上 8 クラブ目の連覇達成となった。
“川崎モデル” — 地域密着の独創的広報戦略
川崎フロンターレは 「Jリーグのブランド戦略の教科書」と呼ばれるほどの存在で、ピッチ外の独創的な活動でも知られる。2000 年代以降、「地域密着 × 独創的広報」を徹底し、以下のような他クラブには見られないユニークな活動を展開してきた:
- 算数ドリル配布 — 川崎市内の小学校に算数の問題集を配布、教育貢献
- 川崎商店街コラボ — 銭湯・中華街・南武線沿線商店街との連携
- 「カブレラの日」 — マスコットの記念日イベント
- 選手のコスプレ企画 — ハロウィン仮装、PR ビデオ
- 美川憲一・水曜どうでしょうコラボ — 全国的話題性
- シャレン!アワード受賞多数 — J リーグ公式表彰の常連
これらの活動を 「川崎モデル」と呼び、他クラブが地域密着化を進める際の参考事例となった。クラブ社長・藁科義弘氏、専務(元)天野春果氏(後に FIFA へ)らの経営手腕も、川崎のブランド力向上に大きく貢献した。
2025-26 川崎フロンターレを語るうえでの5つのチェックポイント
- 長谷部茂利 2 年目の再建進捗 — 鬼木 8 年王朝後の世代交代をどう進めるか。
- 三笘 / 田中碧 / 守田の世界輸出系譜 — 次の “川崎産世界級選手” は誰か。
- ACL Elite での欧州接近 — アジア舞台での復活と国内戦の両立。
- Uvance とどろきスタジアム新時代 — ハイブリッド芝・VIP 拡張で観戦体験向上。
- 2020 シーズン史上最強記録の継承 — “川崎流ポジショナルプレー” の進化系を構築できるか。
2026-27 秋春制への移行と新章
J リーグは 2026-27 シーズンから秋春制(オータム=スプリング)へ移行することが 2023 年に正式決定。これまでの「2 月〜 12 月の暦年シーズン」から、「8 月開幕〜翌年 5 月閉幕」の欧州標準カレンダーに変更される。川崎フロンターレにとっては 真冬の Uvance とどろきスタジアムでのホームゲーム対応と 三笘 / 田中碧らがプレーする欧州市場との直結が新時代の課題となる。
川崎は 2025-26 シーズンを暫定の移行期と位置づけ、世代交代+戦術再構築+秋春制対応の三重課題を進めている。長谷部茂利体制の真価が問われる時期だ。
Uvance とどろきスタジアム観戦ガイド
Uvance とどろきスタジアム(旧称:等々力陸上競技場)は 1962 年開場、収容能力約 27,495 席のスタジアム。川崎市中原区等々力 1 丁目に位置し、川崎市民の憩いの場として陸上競技・サッカー・ラグビーなど多目的に使われる。2010-2015 年に大規模改修でメインスタンドを新設、2024 年に Uvance(NEC グループのソリューションブランド)の命名権契約を締結した。
アクセスは東急東横線「武蔵小杉」駅または JR 南武線「武蔵中原」駅から徒歩約 15-20 分。試合チケットは クラブ公式(frontale.co.jp)と J リーグチケット経由が基本。スタジアム周辺の 「フロンタウン」「フロンパーク」はファン交流拠点として試合日に賑わい、地元の ラスカ川崎・武蔵小杉グルメも人気だ。
サポーター文化とライバル関係
川崎フロンターレのサポーターは「フロンターレ・サポーター」または「カワサキ・サポーター」と呼ばれる。コアサポーターのコール文化は熱量が高く、Uvance とどろきスタジアムのバックスタンドからフロンターレ独特のチャント・コールが響き渡る。クラブの地域密着活動の影響で、家族連れ・地元の小学生ファンが多く、世代横断的な応援文化が形成されている。
最大のライバルは 横浜 F・マリノスとの「神奈川ダービー」、次いで FC 東京との「多摩川クラシコ」(多摩川を挟む対戦)。神奈川ダービーは 2022 シーズンの最終節(横浜 FM 68pt vs 川崎 66pt)など、リーグ優勝争いに直結する激戦が多い。
川崎フロンターレを深く楽しむためのおすすめアイテム
執筆: SportsPulse 編集部 / 更新: 2026-05-13
