森保時代から継承
(2012 / 2013 / 2015)
独流規律の融合
基本フォーメーション 3-4-2-1 の構造
サンフレッチェ広島の戦術的アイデンティティは 3-4-2-1。これは 2012-2015 年の森保一監督時代に確立した黄金のフォーメーションで、当時の主力(佐藤寿人・青山敏弘・高萩洋次郎・塩谷司)と完全にマッチした攻撃的サッカーだった。2022 年に就任したスキッベ監督はこの 3-4-2-1 を継承しつつ、ドイツ流のプレッシング・トランジション・規律性を加えた現代版へと進化させた。

満田 ― 加藤
中野 川村 青山 東
佐々木 荒木 塩谷
大迫
守備時には両 WB が下がって 5-4-1 ブロックを形成。CB 3 枚+ WB 2 枚で計 5 人の最終ラインを作り、ピッチ幅全体を埋める。中盤は青山敏弘(DMF)と川村拓夢(CMF)の 2 枚+ シャドーの満田誠と加藤陸次樹が下がって 4 人横一線、CF のソティリウのみが前線残留。これが 3-4-2-1 / 5-4-1 の可変構造で、攻守の切り替えが極めてスムーズ。
ピエロス・ソティリウ — 攻撃の絶対的核
攻撃の絶対的核は ピエロス・ソティリウ(キプロス代表 FW、APOEL・コペンハーゲン経由、2023 年加入)。187cm の長身ターゲット型 FW で、「キプロス代表 60 試合出場」の経験豊富なベテランエース。3-4-2-1 の最前線で ポストプレーとヘディングを主武器に、シャドー(満田・加藤)と SB の上がり(中野・東)の動きと連動する。
ソティリウの特徴は 「日本人 FW にはない欧州型のフィジカル」。ハイクロスへの空中戦勝率は J1 屈指、相手 CB を引き付けてセカンドストライカーへスペースを作る役割が完璧に機能する。満田誠(OMF)と加藤陸次樹(OMF)のシャドー 2 枚が、ソティリウの作るスペースに走り込んで決定機を作る、これが広島の攻撃の最大パターン。
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青山敏弘 39 歳キャプテン — 中盤の精神的支柱
中盤の絶対的核は 青山敏弘(39 歳、加入 20 年目)。アカデミー出身、2003 年トップ昇格以来 20 年以上クラブのキャプテンを務めてきた永遠のレジェンド。日本代表 25 試合出場、3 度の J1 優勝(2012/13/15)の中心人物として、「広島戦術の精神的支柱」として現在も機能している。
青山の役割は DMF として中盤底に位置し、ボール奪取・展開・ピッチ全体の統率。39 歳でなお正確な縦パス・スルーパスを供給できる稀有な選手で、川村拓夢(25 歳、若手 CMF)とのコンビは「老練 × 若さ」の理想的バランス。スキッベ監督も 「青山が居る限り、広島の中盤は崩れない」と評価する。
両 WB(中野就斗・東俊希)の上下動 — 攻撃幅の決定
3-4-2-1 のキーポジションは 両ウィングバック(WB)。広島の WB は 中野就斗(右、23 歳、U-23 代表級)と東俊希(左、26 歳、ベスト・ヤング・プレーヤー受賞)。両者ともアカデミー出身で、「広島イズム」を体現する若手ホープ。
攻撃時は WB が SB ライン → MF ライン → 相手陣内まで上がる長距離ランニングを担い、3-4-2-1 を 3-2-2-3 や 3-1-4-2 に変形させる。守備時は 5-4-1 の最終ラインに下がる。シーズンを通じての運動量が問われるポジションで、若さ(中野 23・東 26)と地元出身選手の 「広島で最後まで戦う」覚悟がスキッベ戦術を支えている。
| 戦術要素 | 広島の特徴 | 森保時代との比較 |
|---|---|---|
| 基本フォーメーション | 3-4-2-1(不変) | 森保時代と同じ |
| 守備時可変 | 5-4-1 ブロック | 森保時代より更にコンパクト |
| ハイプレス頻度 | シーズン平均 PPDA 8.5 | 森保時代(10)より強化 |
| ロングボール率 | シーズン平均 18% | 森保時代(12%)より増加 |
| セットプレー精度 | シーズン 10-12 点級 | 森保時代と同等 |
スキッベ流ドイツ規律性の融合
ミヒャエル・スキッベ(1965 年生、ドイツ)が広島にもたらした最大の変化は、「ドイツ流の戦術規律性とトランジション速度」。森保時代の 「日本人選手の創造性とテクニック」を維持しつつ、ハイプレス頻度の増加(PPDA 10 → 8.5)、ロングボール戦術の追加(12% → 18%)、セットプレー精度の組織化を進めた。
特に注目すべきは 「攻守トランジションの速度」。ボール喪失後 5 秒以内のプレッシング、ボール奪取後 5 秒以内の縦パス、というドイツ・ブンデスリーガ的な高速サッカーが広島に導入された。これにより、2022 ルヴァンカップ優勝(11 年ぶり主要タイトル)、2023 J1 3 位、2024 J1 5 位と、安定して上位フィニッシュを達成している。
エディオンピースウィング広島の戦術活用
2024 年 2 月開業の新本拠地 エディオンピースウィング広島(収容 28,520 席のサッカー専用スタジアム)の存在も、戦術面に好影響を与えている。「ピッチとスタンドの距離が極めて近い設計」によりハイプレスが 「サポーターの大歓声」と連動し、相手チームの判断ミスを誘発する。これも現代広島戦術の重要な要素。
2025-26 サンフレッチェ広島の戦術キーチェック 5 選
- 3-4-2-1 ベースの伝統継承 — 森保時代から 13 年続く広島イズム
- 5-4-1 ブロックへの可変 — 守備時の 5 人最終ライン+ 4 人中盤の鉄壁
- ソティリウのポストプレー — キプロス代表 187cm のフィジカルが攻撃の起点
- 青山 39 歳キャプテンの中盤統率 — 加入 20 年のレジェンドが今も精神的支柱
- スキッベ流ドイツ規律性 — ハイプレス強化+トランジション速度の現代化
2025-26 戦術課題と ACL 圏入りへの挑戦
2025-26 シーズンの戦術課題は 「青山敏弘の世代交代準備」と 「ソティリウ依存からの脱却」。中盤底の青山を補完する若手 DMF の発掘、ソティリウ以外の得点源の育成(加藤陸次樹・佐々木大樹的な若手 FW)が、長期的な戦術安定の鍵。
スキッベ監督の ドイツ流規律性と 森保 DNA の継承を融合した独自モデルは、現代日本サッカー界における 「外国人監督による日本サッカーの進化」の代表例。2026-27 ACL Elite 圏入り(J1 3 位以内)が、広島戦術の真価が問われる目標となる。
執筆: SportsPulse 編集部 / 公開: 2026-05-14
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