最終更新日:2026年9月3日/裏取り日:2026年9月3日(SportsPulse 編集部)
2026-27シーズンのプレミアリーグは、開幕時点で過去最多となる10名の日本人選手を迎えたと報じられました。ピッチの上に日本人がいることが「事件」ではなく「日常」になった、ということです。
けれど、その日常は勝手にできあがったものではありません。2002年の夏、たった一人がロンドンのクラブでベンチから立ち上がった瞬間から、この物語は始まっています。ハットトリックを決めた背番号26がいて、オーバーヘッドで奇跡を後押しした9番がいて、154試合ぶんの居場所を作った34番がいた。今の10人という数字は、その積み重ねの上に乗っています。
この記事は、現在のメンバー紹介ではありません。日本人がプレミアリーグでどう扉をこじ開け、どう定着し、どう記録を塗り替えてきたのかを、確認できた記録だけで時系列に並べ直したものです。年・大会・相手・スコア・両者の立場がそろわなかった逸話は、思い切って落としました。伝説ではなく、記録として残っている「名場面史」をお届けします。
先に結論:この記事の要点
① 扉を開けたのは稲本潤一。2001年にアーセナルへ加入した日本人初のプレミアクラブ所属選手だが、そのシーズンはリーグ戦出場ゼロ。実際のプレミアデビューは2002年8月17日、フラムでのボルトン・ワンダラーズ戦(4-1)の途中出場だった。
② 最大の名場面は香川真司と岡崎慎司の2つ。香川は2013年3月2日、マンチェスター・ユナイテッドの一員としてノリッジ・シティに4-0で勝った試合でハットトリック(アジア人選手として初)。岡崎は2016年3月14日、レスター・シティが1-0でニューカッスル・ユナイテッドを下した試合でオーバーヘッドの決勝点を挙げ、優勝争いを決定づけた。
③ プレミア優勝を経験した日本人は5人。稲本潤一・香川真司・岡崎慎司・南野拓実・遠藤航(報道ベース/2026年9月3日時点)。直近では遠藤が2024-25シーズンにリヴァプールでリーグ20試合に出場し、優勝メダルを獲得した。
④ 現在の日本人最多記録の多くは三笘薫と吉田麻也が持つ。三笘は2025年1月19日のマンチェスター・ユナイテッド戦でプレミア通算15得点目を挙げ、岡崎の14得点を抜いて日本人最多に。出場数では吉田麻也の154試合が日本人最多とされる。
⑤ 「10人」は制度的にも説明できる。プレミアリーグ公式によれば、25人のスカッドリストでホームグロウン(HGP)要件を満たさない選手は最大17人まで。しかもHGPの定義に国籍要件はない。日本人選手が増えたことと、外国人枠が緩んだことは、まったく別の話である。
2001-2006/稲本潤一が開けた扉と、「出場ゼロ」の1年
日本人とプレミアリーグの関係は、いきなり華やかに始まったわけではありません。むしろ最初の1年は、ほとんど何も起きなかった1年でした。
2001年、稲本潤一がガンバ大阪からアーセナルへ期限付き移籍します。これが日本人選手として初めてプレミアリーグのクラブに所属した例でした。アーセナルはこのシーズン、リーグとFAカップの二冠を達成します。しかし稲本自身はカップ戦での数試合にとどまり、プレミアリーグの試合には一度も出場しませんでした。歴史の最初のページに書かれているのは、栄光ではなく「ベンチ外」と「リーグ戦出場ゼロ」だったわけです。
状況が動いたのは、2002年の日韓ワールドカップのあとです。出場機会を求めた稲本はフラムへ移籍。South China Morning Post は稲本の現役引退を報じた記事で、彼を「イングランド・プレミアリーグでプレーした最初の日本人」と位置づけており、そのリーグ戦デビューは2002年8月17日、フラムがボルトン・ワンダラーズを4-1で下した一戦での途中出場だったと報じられています。ここが、日本人がプレミアリーグのピッチに立った最初の瞬間です。
この時期の稲本には、もうひとつよく知られたエピソードがあります。2002年8月、UEFAインタートトカップ決勝でのボローニャ戦でハットトリックを決め、フラムのタイトル獲得に貢献した一件です。ただし、これはプレミアリーグの試合ではありません。ヨーロッパの大会での出来事です。「日本人がイングランドでいきなりハットトリック」という文脈で語られがちですが、大会が違うので、本稿ではプレミアの名場面としては数えないことにします。名場面史というのは、こういう線引きを面倒でもやり続けることでしか作れません。
その後、稲本はウェスト・ブロムウィッチ・アルビオンでもプレーしました。派手な成功譚ではありません。しかし彼が残したのは記録以上のもの、つまり「日本人がここでプレーできる」という前例でした。前例がないところに2人目は来ません。
なお、稲本が所属した2001-02シーズンのアーセナルはリーグ優勝チームです。そのため後年、「プレミアリーグ優勝を経験した日本人」を数える際に、稲本は1人目として扱われるのが一般的です。ただし前述のとおり、彼はそのシーズンのプレミアリーグ戦に出場していません。「優勝チームの一員だった」ことと「優勝に出場という形で関与した」ことは別である、という点は押さえておいてください。この違いは、後で登場する南野拓実や遠藤航の記録を読むときにも効いてきます。
2013年3月2日/香川真司、オールド・トラッフォードでの「アジア人初」
日本人プレミア史の中で、もっとも引用される90分がこれです。
2013年3月2日、オールド・トラッフォード。首位を独走していたマンチェスター・ユナイテッドが、ノリッジ・シティを迎えました。結果は4-0。そして香川真司が3得点を挙げます。Sky Sports は「香川真司のユナイテッドでの初ハットトリックが4-0の勝利を呼び込み、首位との差を15ポイントに広げた」と報じており、この試合が単なる大勝ではなく優勝レースをほぼ終わらせた一戦だったことがわかります。
得点の中身も、香川らしいものでした。前半終了間際、アントニオ・バレンシアの右からのクロスをファン・ペルシーがそらし、香川がニアサイドでボレー。後半、残り14分でルーニーの横パスを押し込み、87分にはルーニーの落としに走り込んでGKの頭上へ丁寧に浮かせる——と報じられています。派手なミドルシュートは1本もありません。すべて「そこにいた」ことで生まれたゴールです。
この3得点によって、香川真司はプレミアリーグでハットトリックを達成した初のアジア人選手となりました。1992年のリーグ創設から20年以上、誰も届いていなかった記録です。
この試合の5点セット(確認できた事実のみ)
年月日:2013年3月2日/大会:プレミアリーグ 2012-13/会場:オールド・トラッフォード/対戦:マンチェスター・ユナイテッド 4-0 ノリッジ・シティ/両者の立場:ユナイテッドは首位、この勝利で2位との差を15ポイントに拡大。香川はハットトリック。
香川の2012-13シーズンは、リーグ戦20試合・6得点と報じられています。出場数だけを見れば、レギュラーとして君臨したとは言い切れない数字です。実際、この後の彼のイングランドでの日々は、監督交代もあって順風とは呼べないものになりました。
それでも、この記事が香川を中心に置くのには理由があります。ユナイテッドという、当時世界でもっとも注目度の高いクラブのユニフォームを着た日本人が、その舞台で「初」を刻んだという事実は、その後の10年に効き続けたからです。ヨーロッパのスカウトにとって、日本人選手は「試してみる価値のある市場」から「実績のある市場」に変わりました。数字ではなく、認識が変わったのです。
そして2012-13シーズン、マンチェスター・ユナイテッドはリーグを制します。香川真司は、プレミアリーグの優勝メンバーとなった日本人のひとりになりました。稲本と違い、彼はリーグ戦のピッチに立ち続けたうえでの戴冠です。
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2016年3月14日/岡崎慎司、5000倍の奇跡を押した一撃
3年後、日本人はもっと信じがたい物語の中心近くにいました。
2015-16シーズンのレスター・シティ。前季を残留争いで終えたクラブが、クラウディオ・ラニエリのもとで首位に居座り続けていました。その渦中の2016年3月14日、キング・パワー・スタジアムでニューカッスル・ユナイテッドを迎えます。
結果は1-0。唯一の得点を決めたのが、岡崎慎司でした。ESPN や FOX Sports の当時の記事によれば、リヤド・マフレズのフリーキックをニューカッスルがクリアしきれず、マーク・オルブライトンが再びボールを送り込み、ジェイミー・ヴァーディが頭で横へ折り返す。そこに走り込んだ岡崎が、ゴール前約6ヤードからオーバーヘッドキックで叩き込んだ、と報じられています。
この1点の意味は大きいものでした。レスターは首位のまま2位との差を5ポイントに戻し、残り8試合という段階で優勝への道筋をより確かなものにします。相手のベンチには、この試合が指揮官としての初戦となったラファエル・ベニテスがいました。
この試合の5点セット(確認できた事実のみ)
年月日:2016年3月14日/大会:プレミアリーグ 2015-16/会場:キング・パワー・スタジアム/対戦:レスター・シティ 1-0 ニューカッスル・ユナイテッド/両者の立場:レスターは首位、この勝利で2位との差を5ポイントに。得点者は岡崎慎司(オーバーヘッド)。
岡崎の2015-16シーズンは、リーグ戦36試合・5得点と報じられています。得点数だけを取り出せば、優勝チームのFWとしては控えめに見えるかもしれません。けれどこのシーズンのレスターにおける岡崎の役割は、点を取ることよりも前線から守備を始めることにありました。ヴァーディとマフレズが数字を積み上げられた背景には、最初にプレスをかけ、相手のビルドアップの方向を限定し続けた9番の存在があった——というのが、当時から現在まで一貫した評価です。
レスターはこのシーズン、クラブ史上初のトップリーグ制覇を成し遂げました。開幕前のオッズが5000倍だったという逸話とともに語られる、リーグ史上もっとも有名な番狂わせです。その中心グループに日本人がいたという事実は、日本のサッカーにとって、単なるタイトル獲得以上の価値があったと言っていいと思います。
香川のハットトリックが「個人の技術が世界最高峰でも通用する」証明だったとすれば、岡崎の1年は「日本人の献身と戦術理解が、優勝チームの土台になれる」証明でした。方向性の違う2つの証明が3年のうちに出そろったことが、その後の日本人選手のプレミア進出を後押しします。
2012-2020/吉田麻也の154試合という、地味で決定的な土台
名場面史では、どうしても1本のゴールが主役になります。けれど日本人がプレミアリーグに「定着」したと言えるようになったのは、ゴールではなく出場数の積み上げによってでした。
吉田麻也は2012年にサウサンプトンへ加入し、2020年に契約満了で退団するまで、7年半にわたって在籍しました。Number Web のインタビュー記事では、その間に記録したプレミアリーグ154試合出場が日本人最多であるとされています。
154という数字を、少し噛み砕いてみます。プレミアリーグは1シーズン38試合です。仮に毎試合出場したとしても、154試合に到達するには4シーズン以上かかります。しかも吉田のポジションはセンターバック。判断のミスがそのまま失点になり、監督が代わるたびに序列が組み替えられる場所です。その席に7年半座り続けたということ自体が、ひとつの記録だと言えます。
ここには、日本のサッカー全体にとって重要な示唆があります。香川や岡崎が示したのは「日本人がプレミアで輝ける」という可能性でした。吉田が示したのは「日本人がプレミアで生き残れる」という耐久性です。クラブがスカウティングで見るのは、往々にして後者です。1試合の輝きより、4年間の平均値のほうが移籍市場では高く評価されます。日本人選手の値付けが変わっていった背景には、この地味な積み上げがありました。
この時期には、もうひとつタイトルの記録も生まれています。2019-20シーズン、リヴァプールが30年ぶりのリーグ制覇を果たした際、南野拓実がプレミアリーグ優勝を経験した日本人として史上4人目になったとサッカーキングやフットボールチャンネルが報じました。南野はこのシーズンの1月にリヴァプールへ加入しており、優勝メダルの授与要件(一定数以上の出場)を満たしての受賞であったと報じられています。
2022-2025/三笘薫が記録を塗り替え、遠藤航が5人目の王者になる
そして現在進行形の章です。ここでの主役は、記録更新という形で歴史に触れた2人になります。
三笘薫がブライトン&ホーヴ・アルビオンで積み上げてきた数字は、日本人プレミア史のトップを次々と書き換えました。日本経済新聞は2025年1月19日のマンチェスター・ユナイテッド戦で三笘がプレミアリーグ通算15得点に到達し、日本人選手として最多得点となったと報じています。それまでの最多は岡崎慎司の14得点でした。ゲキサカによれば、同じ試合で記録したアシストにより通算アシストは12となり、こちらも日本人最多の数字になったとされています。
つまり、2016年に奇跡を押した男が持っていた得点記録を、その約9年後に別の日本人が抜いた、ということです。日本人がプレミアで日本人の記録を更新する——この段階に到達したこと自体が、稲本の時代からは想像しにくかった風景でしょう。さらに三笘は2024-25シーズンに日本人選手として初めて、プレミアリーグの1シーズンで2桁得点に到達したと報じられています。
もう一方の主役が、遠藤航です。2024-25シーズン、リヴァプールはリーグを制しました。リヴァプール公式サイトによれば、遠藤は「アルネ・スロット監督のスカッドの一員としてトップリーグの優勝メダルを獲得し、このシーズンにリーグ戦20試合に出場した」とされています。同サイトのインタビューで遠藤は「リヴァプールに加入したとき、リーグ制覇が自分の目標だった。自分を本当に誇りに思う」と語っています。
サッカーキングは2025年4月28日の記事で、遠藤が稲本潤一・香川真司・岡崎慎司・南野拓実に次ぐ、史上5人目のプレミアリーグ制覇を経験した日本人になったと報じています。優勝が決まったのは2025年4月27日、トッテナム・ホットスパーに5-1で勝利した一戦でした。
遠藤航の記録が示すもの
リーグ20試合出場という数字は、主力として全試合に絡んだ選手のものではありません。リヴァプール公式が伝えるとおり、遠藤の役割は終盤に投入して試合を締めることが多いものでした。それでも「勝ち点を守り切るためにベンチから送り出される選手」という枠に日本人が入っている、という事実は見逃せません。優勝を狙うクラブが、最も緊張する時間帯を任せられる相手として日本人を選んだということだからです。
年表で見る「日本人×プレミアリーグ」の24年
ここまでの流れを一枚にまとめます。公開情報をもとにした編集部の整理であり、本稿で年・大会・相手・スコア・両者の立場のそろった事実として確認できたものだけを記載しています。現役選手の所属クラブは移籍期限直後で流動的なため、個別の在籍状況の断定は避けています。
| 時期 | 主な出来事 | 本稿で確認できた記録 |
|---|---|---|
| 2001-02 | 稲本潤一がアーセナルへ期限付き移籍。日本人初のプレミアクラブ所属 | このシーズンのプレミアリーグ出場はなし。所属クラブはリーグ優勝 |
| 2002-08-17 | 稲本がフラムでプレミアデビュー(対ボルトン・ワンダラーズ/4-1/途中出場) | 日本人初のプレミアリーグ出場 |
| 2012- | 吉田麻也がサウサンプトンへ加入(2020年に契約満了) | プレミア154試合出場=日本人最多と報じられる |
| 2013-03-02 | 香川真司がハットトリック(マンチェスター・ユナイテッド 4-0 ノリッジ・シティ) | アジア人初のプレミアハットトリック/首位との差を15ptに拡大 |
| 2012-13 | マンチェスター・ユナイテッドがリーグ優勝 | 香川はリーグ20試合6得点と報じられる |
| 2016-03-14 | 岡崎慎司がオーバーヘッドで決勝点(レスター・シティ 1-0 ニューカッスル) | 首位レスターが2位との差を5ptに。残り8試合の局面 |
| 2015-16 | レスター・シティがクラブ史上初のトップリーグ制覇 | 岡崎はリーグ36試合5得点と報じられる |
| 2019-20 | リヴァプールが30年ぶりのリーグ制覇 | 南野拓実が日本人4人目のプレミア制覇者と報じられる |
| 2025-01-19 | 三笘薫がマンチェスター・ユナイテッド戦でプレミア通算15点目 | 岡崎の14得点を抜き日本人最多得点。通算アシスト12も日本人最多 |
| 2024-25 | リヴァプールがリーグ優勝(2025-04-27/対トッテナム 5-1で決定) | 遠藤航がリーグ20試合出場で優勝メダル(リヴァプール公式)/日本人5人目 |
| 2026-27 | 開幕時点で日本人選手は過去最多規模と報じられる | 開幕時点で10名・9クラブとの報道。移籍期限後の最終人数は本稿では未確認 |
※本表は、公開情報をもとに SportsPulse 編集部が整理したものです。取材・独自調査に基づく記述は含みません。稲本潤一のプレミアリーグ通算出場数・得点数については、確定値を確認できなかったため記載していません。
編集部集計①/プレミアリーグ優勝を経験した日本人は5人
「日本人でプレミアを獲ったのは誰か」は、この24年でもっともよく検索される問いのひとつです。公開情報をもとに SportsPulse 編集部が集計したところ、2026年9月3日時点で確認できるのは以下の5名でした。
| 順 | 選手 | シーズン/クラブ | 本稿で確認できた関与の度合い |
|---|---|---|---|
| 1人目 | 稲本潤一 | 2001-02/アーセナル | 当該シーズンのプレミアリーグ出場はなし(優勝スカッドの一員) |
| 2人目 | 香川真司 | 2012-13/マンチェスター・ユナイテッド | リーグ20試合6得点と報じられる。3月2日にハットトリック |
| 3人目 | 岡崎慎司 | 2015-16/レスター・シティ | リーグ36試合5得点と報じられる。3月14日に決勝点 |
| 4人目 | 南野拓実 | 2019-20/リヴァプール | シーズン途中加入。優勝メダルの授与要件を満たしたと報じられる |
| 5人目 | 遠藤航 | 2024-25/リヴァプール | リーグ20試合出場で優勝メダル獲得(リヴァプール公式) |
この表を作って見えてきたことがあります。5人のうち3人が、2015年以降の10年に集中しているということです。稲本と香川のあいだには11年の空白がありました。一方、岡崎・南野・遠藤は9年のあいだに並んでいます。日本人がプレミアの優勝争いをするクラブに在籍することが、例外から「ときどき起きること」へ移行した、と読めます。
編集部集計②/日本人が刻んだプレミアの「初」と「最多」
同じく公開情報をもとにした編集部集計です。本稿で確認できた範囲に限り、確認できなかった項目は空欄にしています。
| 記録 | 保持者 | 時点・内容 |
|---|---|---|
| 日本人初のプレミアクラブ所属 | 稲本潤一 | 2001年/アーセナルへ期限付き移籍 |
| 日本人初のプレミアリーグ出場 | 稲本潤一 | 2002年8月17日/フラム 4-1 ボルトン(途中出場) |
| アジア人初のプレミアハットトリック | 香川真司 | 2013年3月2日/マンU 4-0 ノリッジ |
| 日本人最多出場 | 吉田麻也 | 154試合(サウサンプトン退団時点の報道値) |
| 日本人最多得点 | 三笘薫 | 2025年1月19日に通算15点目で更新(それ以降の最新値は本稿では未確認) |
| 日本人最多アシスト | 三笘薫 | 2025年1月19日時点で通算12(同上) |
| 日本人初のシーズン2桁得点 | 三笘薫 | 2024-25シーズンに達成と報じられる |
この表からもうひとつ言えるのは、「最多」の記録が更新される速度が上がっていることです。得点記録は2016年から2025年まで岡崎が保持していましたが、いま同じ記録が三笘の在籍中に更新され続けています。数年後にこの表を作り直したとき、右列の数字はおそらくすべて変わっているはずです。
「10人も入れるの?」の答え/プレミアの登録規則を正しく知る
日本人が増えると、必ず出てくる疑問があります。「外国人枠は大丈夫なのか」「イングランド人を8人入れないといけないはずでは」というものです。ここは誤解が広く流通している部分なので、公式の記述で確認しておきます。
プレミアリーグ公式によれば、各クラブは移籍市場が閉じたあとに最大25人のスカッドリストを提出します。そのリストについて、公式は「各クラブのスカッドには、ホームグロウン・プレーヤー(HGP)の要件を満たさない選手が17人を超えて含まれてはならない。残りは25人の枠内でホームグロウンでなければならない」と説明しています。
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ここで重要なのがHGPの定義です。公式の記述は次のとおりです。「ホームグロウン・プレーヤーとは、国籍や年齢にかかわらず、21歳の誕生日を迎えるまで(または21歳になるシーズンの終了まで)に、イングランドサッカー協会(FA)またはウェールズサッカー協会に加盟するクラブに、連続・非連続を問わず通算3シーズン、すなわち36か月にわたって登録されていた選手を意味する」。
ここを間違えている解説が多いので、3点だけ整理します
誤解1:「最低8人のホームグロウンが必須」→ 正確には「非ホームグロウンは最大17人まで」という上限形式です。25人フルで登録するなら結果として8人がHGPになりますが、規則の書き方は上限のほうです。
誤解2:「HGPが足りないと罰則がある」→ 罰則ではありません。HGPが足りない場合は登録できる人数そのものが減る(17人+実際のHGP人数)という形で効いてきます。名簿が縮むのです。
誤解3:「ホームグロウン=イングランド人」→ 公式の定義に国籍要件はありません。21歳になるまでにイングランドまたはウェールズのクラブで通算36か月登録されていれば、どの国籍の選手でもHGPになり得ます。
さらに公式は、U21の選手は25人のリストに含まれず、かつプレミアリーグに出場できると説明しています。2025/26シーズンについては「2004年1月1日以降に生まれた選手」がU21に該当すると公式に記載がありました。若い選手の登録には、この別枠が効いてきます。
つまり、日本人選手が増えていることは枠が緩んだからではありません。各クラブが限られた17の非ホームグロウン枠のうちの1つを、日本人選手に使う判断をしている——ということです。ここに、この24年の意味が凝縮されています。稲本が扉を開け、香川が可能性を示し、岡崎と吉田が信頼を積み、三笘や遠藤が現在の相場を作った。17という限られた席をめぐる競争で、日本人が選ばれる回数が増えたのです。
そして2026-27/史上最多規模の開幕が意味すること
最後に、いまのシーズンに触れておきます。
2026-27シーズンの開幕にあたって、フットボールチャンネルなど複数のメディアが「日本人選手は過去最多の10人、所属は9クラブ」と報じました。今夏に初挑戦となる選手も複数含まれており、日本人GKがプレミアのクラブに所属するのは史上初とも報じられています。
ただし、この数字を扱うには注意が必要です。2026年9月1日(英国時間)に夏の移籍期限を迎えており、期限直前・直後の移籍によって人数が動いている可能性があります。本稿の裏取り日である2026年9月3日時点で、編集部は各クラブのスカッドリストによる最終確定人数までは確認できていません。したがって本稿では「開幕時点で10名という報道があり、史上最多規模である」という書き方にとどめ、断定は避けます。誰がどのクラブに所属しているかという最新の一覧については、SportsPulse の別記事をご覧ください。
現行シーズンの顔ぶれと各クラブの状況は「プレミアの日本人10人 完全DB(2026-27)」(URL確定後にリンク化)、リーグ全体の見取り図は「プレミアリーグ2026-27 開幕ガイド(全20クラブ)」(URL確定後にリンク化)で整理しています。本稿は歴史のほうを担当しました。
2002年8月17日、フラムの一員としてピッチに走り出た1人。2026年8月、9クラブに散らばった10人。24年でこれだけの距離を進みました。次の名場面がどこで生まれるのかは誰にもわかりませんが、ひとつだけ確かなことがあります。それが起きたときに「初めてのことだ」と驚く人は、もうかなり少なくなっているということです。日常になるというのは、そういうことです。
よくある質問(FAQ)
Q1. プレミアリーグに最初に出場した日本人選手は誰ですか?
A. 稲本潤一です。2001年にアーセナルへ期限付き移籍して日本人として初めてプレミアのクラブに所属しましたが、そのシーズンはプレミアリーグの試合に出場していません。実際のリーグ戦デビューは、フラムへ移った2002年8月17日、ボルトン・ワンダラーズに4-1で勝った試合での途中出場だったと報じられています。「所属した最初の日本人」と「出場した最初の日本人」が同じ稲本でも年が違う、というのがややこしい点です。
Q2. プレミアリーグで優勝した日本人は何人いますか?
A. 公開情報をもとにした編集部集計では、2026年9月3日時点で5人です。稲本潤一(2001-02/アーセナル)、香川真司(2012-13/マンチェスター・ユナイテッド)、岡崎慎司(2015-16/レスター・シティ)、南野拓実(2019-20/リヴァプール)、遠藤航(2024-25/リヴァプール)。ただし稲本は当該シーズンのプレミアリーグに出場しておらず、「優勝スカッドの一員」という位置づけである点は区別して理解する必要があります。
Q3. 日本人のプレミアリーグ最多得点記録は誰が持っていますか?
A. 三笘薫です。2025年1月19日のマンチェスター・ユナイテッド戦で通算15得点に到達し、それまで最多だった岡崎慎司の14得点を更新したと日本経済新聞などが報じています。同じ試合でアシストも通算12となり、こちらも日本人最多とされています。なお、その後の最新の通算値については本稿では確認していないため記載していません。
Q4. プレミアリーグに「外国人枠」はあるのですか? 日本人が10人も入れるのはなぜですか?
A. 国籍による外国人枠という形の制限はありません。プレミアリーグ公式によれば、25人のスカッドリストのうちホームグロウン要件を満たさない選手は最大17人までと定められています。そしてホームグロウンの定義に国籍要件はなく、21歳の誕生日までにFAまたはウェールズ協会加盟クラブへ通算36か月登録されていれば、どの国籍でも該当します。「ホームグロウン=イングランド人」という説明は誤りです。日本人が増えているのは枠が広がったからではなく、限られた17枠のうちの1つを日本人に使うクラブが増えたからです。
Q5. 稲本潤一がフラムでハットトリックをした、という話を聞いたのですが、それはプレミアの試合ですか?
A. いいえ。2002年8月のUEFAインタートトカップ決勝、ボローニャ戦での出来事と報じられています。プレミアリーグの試合ではありません。プレミアリーグでハットトリックを記録した日本人(かつアジア人)として確認できるのは、2013年3月2日の香川真司です。大会名まで確認しないと、この2つは混同されやすいので注意してください。
出典
いずれも確認日は2026年9月3日です。一次資料(リーグ公式・クラブ公式)と報道を分けて記載します。
一次資料
- Premier League(プレミアリーグ公式)「Premier League squad lists – what you need to know」
https://www.premierleague.com/en/news/4097471/premier-league-squad-lists-explained(確認日:2026年9月3日) - Liverpool FC(リヴァプール公式)「’I’m so proud’ – Wataru Endo on becoming a Premier League champion」
https://www.liverpoolfc.com/news/im-so-proud-wataru-endo-becoming-premier-league-champion(確認日:2026年9月3日)
報道
- Sky Sports「Premier League: Shinji Kagawa hits hat-trick as Manchester United beat Norwich 4-0」
https://www.skysports.com/football/news/11667/8534056/premier-league-shinji-kagawa-hits-hat-trick-as-manchester-united-beat-norwich-4-0(確認日:2026年9月3日) - ESPN「Leicester City 1-0 Newcastle United – Match Report(14 March 2016)」
https://www.espn.com/soccer/report?gameId=422369(確認日:2026年9月3日) - FOX Sports「Okazaki overhead kick sees leader Leicester beat Newcastle」
https://www.foxnews.com/sports/okazaki-overhead-kick-sees-leader-leicester-beat-newcastle(確認日:2026年9月3日) - South China Morning Post「Junichi Inamoto, first Japanese to play in English Premier League, retires aged 45」
https://www.scmp.com/sport/football/article/3289301/junichi-inamoto-first-japanese-play-english-premier-league-retires-aged-45(確認日:2026年9月3日) - 日本経済新聞「三笘薫、プレミアL日本選手最多得点 通算15ゴール」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOKC193LL0Z10C25A1000000/(確認日:2026年9月3日) - ゲキサカ「日本人プレミア得点記録更新の三笘薫、アジア人選手では4位タイに」
https://web.gekisaka.jp/news/world/detail/?423017-423017-fl=(確認日:2026年9月3日) - Number Web「『日本人最多154試合出場』吉田麻也が明かす“プレミアを生き抜く肉体改造”」
https://number.bunshun.jp/articles/-/862880(確認日:2026年9月3日) - フットボールチャンネル「リバプール、30年ぶりのリーグ制覇! 南野拓実が日本人4人目のプレミアリーグ優勝経験者に」
https://www.footballchannel.jp/2020/06/26/post378670/(確認日:2026年9月3日) - サッカーキング「遠藤航所属のリヴァプール、歴代最多タイ20度目のリーグ制覇!」
https://www.soccer-king.jp/news/world/eng/20250428/2012777.html(確認日:2026年9月3日) - フットボールチャンネル「プレミアリーグ開幕、日本人選手は“過去最多”の10人 所属9クラブの開幕戦は?」
https://news.yahoo.co.jp/articles/0936ca5f2e0e43d0e90322ff554f942a025bb227(確認日:2026年9月3日) - Goal.com 日本「プレミアリーグでプレーする日本人選手は?2026-27シーズン一覧」
https://www.goal.com/jp/ニュース/premier-league-2026-27-japanese-player-list/blt018bc2ab96f416a8(確認日:2026年9月3日)
本稿で意図的に空欄にした項目
正確さを優先し、確認できなかった数値・事実は書かずに残しています。以下がその一覧です。
① 2026-27シーズンの日本人選手の最終人数。2026年9月1日(英国時間)に夏の移籍期限を迎えており、期限前後の移籍で人数が動いている可能性があります。本稿では開幕時点の報道値(10名・9クラブ)のみを記載し、断定を避けました。
② 三笘薫が日本人最多得点を更新した2025年1月19日の試合スコア。記録更新の事実と対戦相手は確認できましたが、スコアの確定値は確認できなかったため記載していません。同様に、更新後の最新の通算得点・アシスト数も記載していません。
③ 2026/27シーズンのU21登録基準となる生年。プレミアリーグ公式で確認できたのは2025/26シーズンの基準(2004年1月1日以降生まれ)のみのため、そちらのみ記載しています。
④ 稲本潤一のプレミアリーグ通算出場数・得点数。クラブごとの確定値を確認できなかったため、年表・集計表では空欄としています。
⑤ 現役選手の最新所属クラブ。移籍期限直後で流動的なため、本稿では個別の在籍クラブの列挙を行っていません。最新の一覧は関連記事をご参照ください。
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本稿は「サッカー HUB(fan-soccer)」配下の名場面史クラスターの1本です。歴史から入った方は現行シーズンのDBへ、現行シーズンから来た方はこの歴史へ——という往復で読んでいただけると、いま見ている10人の意味が少し変わって見えるはずです。
執筆: SportsPulse 編集部
本記事は、プレミアリーグ公式・クラブ公式および大手報道を突合したうえで、SportsPulse 編集部が内容をレビューして公開しています。取材・独自調査に基づく記述は含みません。事実関係の誤りにお気づきの場合は、お問い合わせよりご連絡ください。
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横田大祐、レンジャーズ史上初の日本人 ―ハノーファー96からの飛躍と「名門加入」の本当の意味最終更新日: 2026年9月4日 | 編集方針
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📅 更新履歴
| 日付 | 変更内容 |
|---|---|
| 2026年9月4日 | 初回公開 |
✅ ファクト再検証
最終検証日:2026年9月4日
SportsPulse 編集部が公開情報をもとに内容を確認しています。情報は確認時点のものです。最新情報は各公式サイトをご確認ください。
