ビザ・キャッシュ・アップ・RB(Visa Cash App RB、VCARB)は、2024年から現在の名称となったレッドブル系の「Bチーム」F1コンストラクター。前身は1985年に伊エミリア・ロマーニャ州ファエンツァで創設された ミナルディ(1985-2005)→レッドブル買収後の トロ・ロッソ(2006-2019)→アルファタウリ(2020-2023)→RB(2024-)と、F1史上最も改名回数の多いチームのひとつ。 アロンソ・ウェバー・ベッテル・フェルスタッペン・サインツJr.・ガスリー・角田裕毅 ら、後にF1界を席巻する名ドライバーを輩出してきた「育成工場」としての役割は40年間一貫している。最大のハイライトは 2008年モンツァでベッテルが当時最年少優勝(後にフェルスタッペンが更新)、2020年モンツァでガスリーがチーム12年ぶりの優勝。2026年からはレッドブル本体と共に Red Bull Ford Powertrains を搭載、角田に代わって イザック・アジャー がレッドブル本体へ昇格、新人 アルヴィッド・リンドブラッド らとの新若手体制で再出発する。[出典]
ビザ・キャッシュ・アップ・RB フォーミュラワン・チーム(Visa Cash App RB Formula One Team)は、伊エミリア・ロマーニャ州 ファエンツァ(Faenza) に本拠を置き、英オックスフォードシャー州 ビセスター(Bicester) に衛星拠点を持つF1コンストラクター。シャシー名はVCARBシリーズ(直近はVCARB-02)、チームカラーは2024年からネイビーブルー+ホワイト+クレジットカード型のグラフィックを採用。レッドブル本体(Oracle Red Bull Racing)の 「姉妹チーム=Bチーム」 として若手ドライバーの登竜門の役割を担う。
ミナルディ時代(1985〜2005年)— 「貧乏だが情熱の星」
チームの起源は 1985年、ジャンカルロ・ミナルディ(Giancarlo Minardi)が伊ファエンツァで設立した ミナルディ・チーム に遡る。F2時代から続く小規模工房がF1へ昇格、当初は資金難と古いマシンで万年下位に沈んだが、 「F1への純粋な情熱」 で40年間ファンに愛されてきた稀有な存在だった。
ミナルディはその予算規模の限界から、 「予算ではなく才能で戦う」 戦略を採用。 F1への登竜門として才能ある若手を起用 したことで、後に世界王者となる多数のドライバーが初F1経験を積んだ。
ミナルディから巣立った主な若手ドライバー
特に 2001年シーズンにフェルナンド・アロンソ(当時18歳)がF1デビュー したのは、ミナルディの最大の歴史的貢献である。資金不足のため翌年ルノーへ移籍したが、後の2回ワールドチャンピオンの第一歩はここから始まった。
レッドブル買収とトロ・ロッソ誕生(2005〜2019年)
2005年9月、レッドブル(Red Bull GmbH)がミナルディを買収。同社はすでに2004年にジャガーを買収して「レッドブル・レーシング」(Aチーム)を運営していたが、 若手育成専用のBチーム が必要との戦略でミナルディを獲得。
2006年から 「スクーデリア・トロ・ロッソ(Scuderia Toro Rosso、Toro Rosso = イタリア語で「赤い牛」)」 に改称、レッドブル兄弟チームとして再出発した。本拠地ファエンツァは維持され、シャシーは初年度のみレッドブル本体のRB1ベース、その後は独自設計を行うようになった。
2008年モンツァ — ベッテル史上最年少優勝(当時)
2008年9月14日、F1イタリアGP(モンツァ) ── 雨に翻弄されたシーズン中盤の伝説的レース。トロ・ロッソの セバスチャン・ベッテル(21歳と73日)がポールポジションを獲得、決勝も完璧な雨レースを支配して キャリア初優勝=チーム史上初優勝 を達成した。
これは当時の F1史上最年少優勝記録(後にマックス・フェルスタッペンが2016年スペインGPで18歳228日に更新)であり、トロ・ロッソにとって 史上唯一の優勝 であると同時に、 チーム自社設計シャシー(STR3)による勝利 でもある。後にRB(VCARB)系チームから世界王者が次々と巣立つ「育成工場」の証明となった象徴的瞬間だった。
ベッテルは翌2009年にレッドブル本体へ昇格、2010年から4連覇を達成する。
フェルスタッペン17歳のF1デビュー(2015年)
トロ・ロッソが再び世界の注目を集めたのは 2015年シーズン。 マックス・フェルスタッペン(17歳166日) が F1史上最年少デビュー を果たした。当時のFIAスーパーライセンス規則は「F1経験者を保護する」目的で18歳以上に制限されていたが、フェルスタッペンの起用がきっかけで 2016年から最低年齢18歳・スーパーライセンスポイント40点 の新規定が制定されたほどである。
フェルスタッペンは当初から圧倒的な才能を発揮し、 2016年第5戦スペインGPでレッドブル本体に途中昇格、初戦で優勝(18歳228日でベッテルの最年少優勝記録を更新)。これもトロ・ロッソが「育成工場」として機能した好例である。
アルファタウリ時代(2020〜2023年)— ガスリー・モンツァ優勝
2020年シーズンからチーム名を「アルファタウリ(AlphaTauri)」 に改称。アルファタウリはレッドブル傘下の イタリア発ファッションブランド で、F1チームを通じてグローバル展開を加速する戦略だった。レッドブルが「飲料以外のブランド露出」を試みた典型例である。
リブランド初年度の 2020年イタリアGP(モンツァ) で奇跡が起きた。 ピエール・ガスリー が、ハミルトンの32秒ピットストップペナルティとサインツJr.(マクラーレン)との最終ラップ接戦を制し、 チーム12年ぶりの優勝(ベッテル2008モンツァ以来)を達成。COVID-19影響下で観客のいないモンツァに、ガスリーの勝利は世界中のF1ファンに感動を呼んだ。
2022年にはレッドブルから出戻った角田裕毅とフェルスタッペンの愛弟子と言える ニック・デ・フリース らが出場、2023年にはダニエル・リカルドが復帰してファエンツァで「キャリア再起動」を試みた。
RB(VCARB)改名と現在(2024年〜)
2024年シーズンから「Visa Cash App RB(略称RB)」 にリブランド。アルファタウリのファッションブランド戦略は終了し、フィンテック企業 Visa Cash App をタイトルスポンサーに迎えた。マシン名も VCARBシリーズ(VC-Aは2024年型、VC-Bは2025年型)。
2024年シーズンのドライバーは 角田裕毅とリカルド、シーズン途中で リアム・ローソン がリカルドの代役で起用された。2024年シーズン開幕から ローラン・メキーズ がチーム代表に就任、組織を立て直しつつ2025年シーズンに備えた。
2025年動乱 — ローソン降格、角田レッドブル昇格
2025年シーズン開幕、レッドブル本体ではフェルスタッペン+ローソン体制でスタート。しかしローソンは開幕2戦で深刻な不振、レッドブルから降格してVCARBへ戻る。代わって 角田裕毅が日本GP(鈴鹿)からレッドブル本体に昇格、日本人ドライバー初のレッドブル本体所属となった。
2025年7月、 ローラン・メキーズ代表もレッドブル本体へ昇格(ホーナー解任後の新CEO就任)。VCARBの新代表は元アルピーヌの アラン・パーメイン(Alan Permane)が引き継いだ。
2025年シーズン、VCARBは アジャー(仏)+ ローソン(NZ) 体制でコンスト中位を維持した。
2026年 — Red Bull Ford PUと若手再編
2026年からVCARBはレッドブル本体と同じ Red Bull Ford Powertrains を搭載。シャシーはファエンツァ独自設計、PUは英ミルトン・キーンズのRBPT工場製。
ドライバーラインナップは イザック・アジャー(21歳、仏)が 2026年からレッドブル本体に昇格(フェルスタッペンのパートナー)、VCARBには リアム・ローソン(NZ)と アルヴィッド・リンドブラッド(英、レッドブルジュニア出身の19歳新人)の組み合わせとなった。
「育成工場」としての40年史 — 主な巣立ちドライバー
40年で 2人の世界王者・複数の勝者 を輩出する育成チームは世界に存在しない。「Bチーム」というレッテルを超えた F1史上最も成功した若手登竜門 である。
ファエンツァ本拠地 + ビセスター衛星拠点
ファエンツァ・ファクトリー は伊エミリア・ロマーニャ州、フェラーリ本拠地マラネロから車で1時間の距離。ミナルディ時代から続く伝統的なファクトリーで、約400名のスタッフがシャシー設計・組立を担当する。F1チームでイタリア国内に本拠地を置く稀有な存在である(フェラーリと並ぶ2チームのみ)。
英ビセスター(Bicester) にあるサテライト拠点では、空力解析(CFD)と一部マシン部品の設計を担当。レッドブル本体のミルトン・キーンズと連携した英国側のオペレーションを担う。「伊×英の二拠点体制」 がVCARBの組織的特徴である。
ドライバー布陣(2026年)
2026年シーズンは リアム・ローソン(24歳・NZ国籍・2025年加入)と アルヴィッド・リンドブラッド(19歳・英国籍・2026年デビュー)の体制で挑む。リンドブラッドはF2/F3時代に複数勝利を挙げたレッドブルジュニアプログラム出身の有望株で、 「次のフェルスタッペン候補」 として期待される。
日本からF1観戦
2026年シーズンの日本でのF1中継は3チャネル体制:① フジテレビNEXT が全戦の予選・決勝・FP1〜FP3を専門チャンネル+オンデマンド(FOD)で完全配信。② FOD F1プラン(チャンピオンコース)は2026年から国内正式配信、月額¥5,900で全24戦ライブ+4K HDR・マルチビュー・オンボードカメラ・チームラジオなど F1 TV Premium 同等のフルデータ視点でレースを楽しめる。③ Amazon Prime Video では Netflix シリーズ「Drive to Survive」最新シーズンが配信され、RB(角田レッドブル昇格・アジャー昇格・新人リンドブラッド・パーメイン代表交代)の舞台裏ドキュメンタリーが視聴できる。
📚 角田裕毅のF1ストーリーを辿る:『レーシングドライバー角田裕毅パーソナルブック YUKI』(小学館) / Yahoo! は本人インタビュー2万字+写真集+漫画でF1への道を描く決定版。日本人初レッドブル本体所属に至るストーリーが詰まっている。
📚 ヴェルスタッペン育成の文脈:『HOW TO BUILD A CAR』エイドリアン・ニューウェイ自伝(KADOKAWA) / Yahoo!。
📖 開幕前定番:『F速 2025 総集編』(三栄/Kindle) / Yahoo!。
まとめ — 「育成工場」の40年と次の世代
VCARB(旧ミナルディ→トロ・ロッソ→アルファタウリ→RB)の40年は、F1史で最も明確に 「若手育成」 の役割を担い続けた。アロンソもウェバーもベッテルもフェルスタッペンもサインツもガスリーも、ここで初F1経験を積み、世界へ羽ばたいた。
2026年新規定下、Red Bull Ford PUを得て、 アルヴィッド・リンドブラッド20歳 という「次のフェルスタッペン」候補が走り始める。F1の歴史を変える次世代ドライバーは、2026年もファエンツァのこの工房から生まれるかもしれない ── 「名前は変わっても、役割は変わらない」 物語が、新しい章を綴り始めている。
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✓ Fact-checked 2026-05-04
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| 2026年2月17日 | 初回公開 |
| 2026年5月29日 | 情報を更新 |
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最終検証日:2026年5月29日
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