前田大然の道のりは、「大阪の野山を裸足で駆け回って育ち、小4でサッカーを本格的に始め、憧れの高校で大きな挫折を経験してから世界屈指の献身型FWに生まれ変わった」という、遅咲きと再起の物語です。
1997年10月20日生まれ、大阪府出身。地元の少年団から山梨学院高校へ越境入学し、高卒で松本山雅FCに加入。ポルトガルでの武者修行を経て横浜F・マリノスで2021年のJ1得点王に輝き、スコットランドの名門セルティックでは複数回のリーグ優勝に貢献してきました。2022年カタールW杯ではクロアチア戦で先制ゴール。2026年W杯にも背番号11のFWとして臨み、日本のグループステージ無敗2位通過(第3戦スウェーデン戦1-1)を支えた一人です。
「50メートル5秒台」と報じられる快足ばかりが注目されがちですが、生い立ちを辿ると、幼児期の外遊び、遅めの競技スタート、そして高校時代の挫折と、子育てのヒントが詰まっています。
前田大然 基本プロフィール
| 名前 | 前田大然(まえだ・だいぜん) |
|---|---|
| 生年月日 | 1997年10月20日 |
| 出身 | 大阪府(堺市生まれ・南河内郡太子町育ち) |
| ポジション | FW |
| W杯2026 背番号 | 11 |
| 所属(W杯2026時点) | セルティック(スコットランド) |
| 経路タイプ | 部活(高校サッカー)経由型 |
| サッカー開始 | 小学4年生(地元少年団で本格スタート) |
生い立ちと家庭環境
前田大然は堺市で生まれ、羽曳野市を経て、小学4年のときに自然豊かな南河内郡太子町へ移りました。父は獣医師で、母とともに堺市で動物病院を営んでいます。5人きょうだいの2番目・長男で、きょうだいは皆、自然にちなんだ名前。「大然」も「大自然」に由来し、名付けたのは母でした。講談社・現代ビジネスの母親インタビューでは、「大自然のなか、のびのびと育ってほしい」という願いが語られています。身体能力の血筋について母は、「夫婦ともに足は速かったと思います。主人は体操経験者で、瞬発力とバネがありました。一方、私は足が速くて持久力があるタイプ。大然は2人の能力がちょうどミックスされたのかもしれません」とも明かしています。
前田家の暮らしぶりはユニークです。通った保育園は「自然なものを食べて裸足で外遊びする」方針。家庭でもインスタント食品や冷凍食品は食べず、主食は玄米でした。自宅の2階には個室がなく、広いスペースできょうだいがミニサッカーをして遊び、夜は川の字で寝ていたといいます。両親が動物病院で働くため子どもたちだけで過ごす時間も多く、きょうだいで協力して夕食を作ることもあったそうです。テレビやゲームには興味を示さず、『キャプテン翼』すら知らずに育った——。母は、3歳の頃から山に登り、外遊びの中で「第5感のような野生の感覚」を身につけたのではないかと振り返っています。
小学生時代 — サッカーとの出会い
意外なことに、前田がサッカーを本格的に始めたのは小学4年生です。同じクラスの友人に誘われて、転居先の太子町の少年団に入りました。保育園の頃からスピードは飛び抜けており、校内マラソン大会は「お弁当を食べすぎた中学1年のとき以外いつも1位」(母談)。一方で、ボール扱いは決して器用な方ではなく、当時はプロになるとは両親も想像していなかったといいます。
進路を決定づけたのは小学6年の冬でした。テレビで見た全国高校サッカー選手権の決勝カードは山梨学院と青森山田。前田は「勝ったほうに進学する」と決め、初出場初優勝を果たした山梨学院に憧れを抱きます。習い事の実績や強豪クラブのセレクションではなく、テレビの前で自分の意思で目標を定めた——それが前田大然の原点でした。
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中学・高校年代 — 岐路と転機
中学は地元の太子町立太子中学校に通いながら、クラブチームの川上FCでプレーし、大阪府トレセンにも選ばれました。そして中学卒業と同時に親元を離れ、宣言どおり山梨学院へ特待生として越境入学します。
1年生の途中からトップチームに入るなど頭角を現した矢先、サッカー人生を揺るがす挫折が訪れます。規律違反による「除籍処分」です。当時流行っていたお笑い芸人の真似をして友人と過剰な力で叩き合ったことが問題視されたもので、いじめの類ではなかったものの、部内で別のいじめ問題が起きていた時期と重なり、部活動に参加できなくなりました。
除籍となった約1年間、前田は登校前にパン屋で働き、社会人チームでサッカーを続けました。処分直後の前田は、ひっそりと泣いていたものの、すぐに「みんなとまたサッカーがしたい」と気持ちを切り替え、壁に向かってボールを蹴り続けていたそうです。寮を出てアパートを借りた息子のために、母は大阪から夜行バスで毎週山梨へ通い、料理を作り置きして帰ったといいます。山梨学院の横森巧総監督が様子を見に行くと、パン屋で楽しそうに働く姿があり、「楽しそうにやっていましたよ」と母に連絡をくれたというエピソードも残っています。母はこの期間を「精神的に大きく大人へと成長させた」と振り返ります。復帰後のプレーは明らかに変わりました。「俺が俺が」と点を取りに行くスタイルから、チームのために走る献身的なスタイルへ。「いまのプレースタイルの原点は、間違いなくあの1年間にあります」という母の言葉が、この転機の重みを物語っています。
プロ入りから日本代表へ
高校卒業後の2016年、松本山雅FCに加入して高卒でプロ入り。2017年には水戸ホーリーホックへ期限付き移籍して経験を積み、松本復帰を経て、2019年夏にポルトガル1部のCSマリティモへ期限付き移籍しました。言葉も環境も異なる地での武者修行を経て、2020年に横浜F・マリノスへ完全移籍。2021年にはリーグ36試合23ゴールで、史上2番目の若さでのJ1得点王に輝きました。
2022年1月、スコットランドの名門セルティックへ移籍すると、すぐに定位置を獲得してリーグ優勝に貢献。同年のカタールW杯では、決勝トーナメント1回戦クロアチア戦で先制ゴールを挙げ、前線からの猛烈な守備でも強い印象を残しました。その後もセルティックの中心として活躍を続け、2024-25シーズンにはスコットランドの年間最優秀選手に選出。2025-26シーズンにも優勝を決定づけるゴールを挙げるなど、クラブの顔となっています。
そして2026年W杯。背番号11を背負った日本はグループステージを無敗の2位で通過し(第3戦スウェーデン戦は1-1)、ラウンド32では佐野海舟の先制点で先行しながらブラジルに1-2で敗れました。悔しさは残るものの、野山育ちの少年が2大会連続でW杯の舞台に立ったという事実は変わりません。
保護者が学べる3つのこと
- 早期英才教育だけが道ではない — 本格的な競技スタートは小4。それまでの野山での外遊びや裸足の保育が、世界で通用する身体能力の土台になりました。幼児期は特定競技の訓練より、思い切り体を動かす環境づくりが効く場合があることを示す好例です。
- 挫折のときこそ、親は「そばに居続ける」 — 除籍処分という危機に、母は責めるのではなく、毎週夜行バスで通って食事を作り置きするという形で支えました。処分の是非を争うのでも本人を突き放すのでもなく、生活を支えて見守る。挫折を成長に変えた家族の関わり方は大きなヒントです。
- 進路は子ども自身に決めさせる — 「選手権で勝ったほうの高校に行く」と小6で自分で決め、親元を離れる越境入学も本人の意思でした。自分で選んだ道だからこそ、挫折しても「みんなとまたサッカーがしたい」と立ち上がれたと言えるでしょう。
よくある質問
Q. 前田大然は何歳からサッカーを始めた?
A. 本格的に始めたのは小学4年生。友人に誘われて地元・太子町の少年団に入りました。幼少期は野山での外遊びで身体能力を磨いた、遅めスタートの成功例です。
Q. 前田大然はどんな経路でプロになった?
A. 地元クラブから山梨学院高校へ越境入学し、高卒で松本山雅FCに加入。ポルトガル武者修行を経て横浜F・マリノス、セルティックへ進んだ部活(高校サッカー)経由型です。
出典・参考
- JFA 日本代表メンバー発表(2026-05-15)
- 現代ビジネス(講談社)「野山育ち、部屋のない自宅、そして高校時代の過ち…前田大然『献身プレー』の原点」(2026-06-13・母への取材記事)
- スポーツナビ「サッカー部除籍の過去と前線からの鬼プレス 前田大然のプレースタイルはどう生まれたのか」(2022-09-10)
- 松本山雅FC公式「前田大然選手CSマリティモ(ポルトガル)へ期限付き移籍のお知らせ」
- 松本山雅FC公式「前田大然選手 横浜F・マリノスへ完全移籍のお知らせ」
- フットボールチャンネル「前田大然が英雄に!セルティックを逆転優勝に導く決勝ゴール」(2026-05-16)
各URLの確認日: 2026年7月25日
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執筆: SportsPulse 編集部
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最終更新日: 2026年7月25日 | 編集方針
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📅 更新履歴
| 日付 | 変更内容 |
|---|---|
| 2026年7月25日 | 初回公開 |
✅ ファクト再検証
最終検証日:2026年7月25日
SportsPulse 編集部が公開情報をもとに内容を確認しています。情報は確認時点のものです。最新情報は各公式サイトをご確認ください。
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