2022-23(De Zerbi 体制)
2023-24 Europa League / 8 強
席AMEX Stadium
2011 開業
Brighton & Hove Albion
“Brighton モデル” 始動
De Zerbi 革命
クラブ史と “Seagulls” — 124 年の歩み
Brighton & Hove Albion Football Club は 1901 年 6 月 24 日、英国南海岸のリゾート都市 Brighton で創設された。クラブ名は本拠地 Brighton(都市名)+ Hove(隣接の地区名)+ Albion(”白い土地” = 英国の古名)を組み合わせたもの。ニックネームは「Seagulls(シーガルズ、カモメ)」、Brighton の海岸沿いに棲息するカモメに由来し、サポーターは試合中に「Seagulls! Seagulls!」のチャントを響かせる。
クラブカラーは ブルー & ホワイトのストライプ、伝統的に保守的なデザインを維持してきた。1979 年に当時の Goldstone Ground から First Division 昇格を達成、1983 年 FA Cup 決勝で Man Utd と引き分け(再試合で敗北)という英国フットボール史的に重要な瞬間を経験した。1980 年代後半以降は Lower Division への降格と財政危機が続き、1997 年に Goldstone Ground 売却 → 数年間 Withdean Stadium(陸上競技場)を仮ホームとして使用するという、PL クラブとしては考えられないような苦境を経験した。
クラブを救済したのが 2009 年の Tony Bloom 買収と 2011 年の AMEX Stadium(American Express Community Stadium)開業だった。AMEX は 収容能力 31,876 席のサッカー専用スタジアムで、Falmer 地区に位置し、Lewes-Brighton 鉄道で直結している。AMEX 開業以降のクラブは 「現代型 PL クラブ」として完全に変貌した。
Tony Bloom 16 年所有期と “Brighton モデル”
Tony Bloom(1970 年生、Brighton 出身)は、英国フットボール界で最もユニークなオーナーのひとり。プロギャンブラー出身で、世界最大級のスポーツベッティング分析会社 Starlizard を創業、サッカーのデータ分析を通じて巨額の資産を築いた異色の経歴を持つ。2009 年 5 月、Brighton 買収を発表、財政破綻寸前のクラブを救済して新時代を切り拓いた。Bloom の異名は 「The Lizard(リザード、トカゲ)」、ポーカーや競馬での冷静沈着なプレースタイルから付けられた名前だ。
Bloom 体制が構築した 「Brighton モデル」は、現代フットボール経営の教科書として世界中の経営者・コーチに研究されている。その特徴は以下の通り:
- データ駆動スカウト — Starlizard の分析ノウハウを活用、無名の若手を世界中から発掘
- 低価格購入 → 育成 → 高額売却 — Caicedo £4.5m → £115m、Cucurella £15.4m → £62m など、巨額の売却益
- クラブ全体のサクセッション — Potter → De Zerbi → Hürzeler という監督継承も同じ思想
- ヨーロッパ 2 部リーグからの選手獲得 — Aalsmeer、Albanian リーグ、Belgian リーグなど他クラブが注目しない市場
- 長期契約と FFP 遵守 — 売却益を継続的な補強に再投資、財務基盤を強化
累計売却額は £400m を超えるとされ、Caicedo(→ Chelsea £115m)、Cucurella(→ Chelsea £62m)、Mac Allister(→ Liverpool £35m)、Trossard(→ Arsenal £21m)、Ben White(→ Arsenal £50m)、João Pedro(→ Chelsea £60m)、Lallana、Murray など、世界的なスター選手を次々と “輸出” してきた。「世界最強の輸出工場」として、Brighton は欧州フットボール界の独自の地位を確立した。
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De Zerbi 革命 2022-24 — 120 年初の欧州大会
クラブ史的なターニングポイントは 2022 年 9 月、Graham Potter 監督が Chelsea へ移籍した直後の、Roberto De Zerbi 招聘だった。ロベルト・デ・ゼルビ(Roberto De Zerbi、イタリア、1979 年生)は、Sassuolo(伊 Serie A)と Shakhtar Donetsk で実績を残した戦術家。Pep Guardiola 流ポゼッションを継承しつつ、独自の “プロボカティブ・ビルドアップ” — つまり、自陣ペナルティエリア付近で意図的にプレスを誘発し、相手のラインを崩してから前進する独特の手法を持ち込んだ。
De Zerbi 体制下の Brighton は劇的に変貌した。2022-23 シーズン、PL 6 位(62 pt)でクラブ史上最高順位、そして 120 年クラブ史上初の欧州大会出場権を獲得という、史上最大の偉業を達成した。中心選手は 三笘薫(LW)、Caicedo(DMF)、Mac Allister(CMF)、Trossard(OMF)、Estupiñán(LB)、Ferguson(CF、若手)、Mitoma の決勝点 vs Liverpoolなど、Brighton モデルから育った世界級タレントの結晶。
2023-24 Europa League では、Brighton が初参戦した欧州大会で 8 強進出を達成。グループステージを 1 位通過、ラウンド 16 で Roma 戦に 1-2(合計)で敗退するも、120 年クラブ史で考えられないような国際舞台での実績を残した。De Zerbi は同シーズン終了で退任、2024-25 に Olympique de Marseille 監督に就任した。
De Zerbi の 2 年間のレガシーは計り知れない。彼の戦術は 「Brighton スタイル = ポゼッション + リスクテイク + 育成」として、世界中のクラブが研究するモデルとなった。
2024 Hürzeler 招聘 — PL 最年少監督 31 歳
ファビアン・ヒュルツェラー(Fabian Hürzeler、ドイツ、1993 年生)は、現役時代を Bayern Munich II・Pipinsried などでプレーした元 MF。2020 年に FC St. Pauli(ドイツ 2 部)の U-23 監督に就任、2022 年にトップチーム監督昇格、2023-24 シーズンに St. Pauli を 2.Bundesliga 優勝+ 1.Bundesliga 昇格に導いた。わずか 31 歳での実績で、欧州中のクラブが注目した若手指揮官だ。
2024 年 6 月、Brighton は De Zerbi 後任として Hürzeler を招聘、Premier League 史上最年少監督(31 歳 1 ヶ月)として迎えた。Hürzeler の戦術は De Zerbi 流ポゼッションを継承しつつ、より積極的なプレッシングを加えたスタイル。2024-25 シーズンの Brighton は PL 8-10 位前後で安定し、若手中心スカッドの完成度を着実に高めている。2025 年 5 月にクラブと 2029 年までの契約延長を発表し、長期体制の安定が確保された。
“世界最強輸出工場” — 売却累計 £400m+ の系譜
| 選手 | Brighton 在籍 | 移籍先・金額 | 備考 |
|---|---|---|---|
| Moisés Caicedo | 2021-2023 | Chelsea / £115m(英国記録) | 独立リーグ Independiente del Valle から £4.5m で獲得 |
| Marc Cucurella | 2021-2022 | Chelsea / £62m | Getafe レンタル後完全移籍、1 シーズンで売却 |
| Alexis Mac Allister | 2019-2023 | Liverpool / £35m | 2022 W 杯優勝メンバー、Argentina 中盤の核 |
| Leandro Trossard | 2019-2023 | Arsenal / £21m | Genk から獲得、PL Arsenal で活躍中 |
| Ben White | 2014-2021 | Arsenal / £50m | アカデミー出身、現 Arsenal CB の柱 |
| João Pedro | 2023-2024 | Chelsea / £60m | 1 シーズン在籍後の売却で巨額利益 |
| Pervis Estupiñán | 2022-2024 | AC Milan / £19m | De Zerbi 時代の左 SB の中核 |
| Yves Bissouma | 2018-2022 | Tottenham / £25m | Lille から獲得、Spurs で主力化 |
これら 8 選手だけで 累計売却額 £387m。獲得時の累計が約 £30m 程度であることを考えると、純利益約 £350mという驚異的な数字。これは欧州フットボール界のクラブ運営手法を根本から変革する 「ブライトン革命」と呼ばれる現代経営の到達点だ。
2025-26 主力ロスター(10名)
PL 順位推移と主要実績
| シーズン | 順位 | 勝点 | 監督 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 2017-18 | 15位 | 40pt | Hughton | 34 年ぶり PL 復帰 |
| 2021-22 | 9位 | 51pt | Potter | クラブ史上初の PL トップ 10 |
| 2022-23 | 6位 | 62pt | Potter → De Zerbi | クラブ史上最高 / 欧州初出場 |
| 2023-24 | 11位 | 48pt | De Zerbi | Europa League 8 強 |
| 2024-25 | 8位 | 57pt | Hürzeler | Hürzeler 1 年目 |
| 2025-26 | 8位(5月時点) | 50pt | Hürzeler | 2029 まで契約延長 |
AMEX Stadium 観戦ガイド
AMEX Stadium(American Express Community Stadium)は 2011 年 7 月 30 日開業、収容能力 31,876 席のサッカー専用スタジアム。Falmer 地区に位置し、地形を活かした近代的な構造で、ピッチとの距離が近い設計が特徴だ。American Express の命名権契約により名前が冠されている。
アクセスは Brighton 駅から鉄道で約 8 分の Falmer 駅から徒歩 5 分。試合日は専用の急行便が運行されている。試合チケットは クラブ公式(brightonandhovealbion.com)と Albion Members経由が基本。試合前後の Brighton 市内観光(ロイヤル・パビリオン、Brighton Pier、海岸通り)と組み合わせるのが定番ルートだ。
サポーター文化とライバル関係
ブライトンのサポーターは 「Seagulls」と呼ばれる。試合中の 「Seagulls! Seagulls!」のチャントは英国フットボール界で最も有名な応援のひとつ。Brighton 海岸沿いの LGBTQ+ コミュニティが強い支持基盤を持つことから、欧州フットボール界でも特に 「最もインクルーシブなクラブ」として知られている。
最大のライバルは Crystal Palace との「M23 Derby(A23 Derby)」。Brighton と Crystal Palace のホームスタジアム間を結ぶ高速道路 M23 / A23 にちなんだ名称で、英国南部最大級のダービーマッチとされる。地理的距離は約 67km とそれほど近くないが、両クラブの伝統的対立関係は熱量が高い。
2025-26 Brighton を語るうえでの5つのチェックポイント
- Tony Bloom 16 年所有期の継続性 — Brighton モデルの完成度と次世代戦略。
- Hürzeler 2029 まで契約延長 — PL 最年少監督との長期パートナーシップ。
- 三笘薫の中心軸化 — クラブ史 PL 通算最多日本人ゴール記録継続。
- “世界最強輸出工場” 累計 £400m+ — Caicedo → Rutter / Baleba 等の次世代輸出計画。
- 欧州大会復帰挑戦 — 2022-23 PL 6 位の再現、Conference / Europa 出場権獲得。
ブライトンを深く楽しむためのおすすめアイテム
執筆: SportsPulse 編集部 / 更新: 2026-05-13
