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アストンマーティン 歴史と栄光の軌跡【F1完全ガイド】

投稿日:2026年02月17日 約16分で読める 初心者向け
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アストンマーティンのF1史は2つの時代に分かれる。1959〜60年の第一次参戦は6戦のみで撤退。現在のチームは1991年創設のジョーダン・グランプリを源流とし、ミッドランド→スパイカー→フォースインディア→レーシングポイントを経て2021年に「アストンマーティン」として復帰した。2018年の経営危機を救ったローレンス・ストロールが巨額投資を行い、2023年にはアロンソが8回の表彰台を獲得。2024年は後退したものの、エイドリアン・ニューウェイ加入とホンダ製パワーユニットを得て2026年新規定でのタイトル挑戦体制を整えつつある。[出典]

アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラワン・チーム(Aston Martin Aramco Formula One Team)は、英国の高級スポーツカーメーカー「アストンマーティン」の名を冠するF1コンストラクター。本拠地は英シルバーストン・サーキットに隣接する AMR Technology Campus、シャシー名は AMR、カラーリングは伝統の ブリティッシュ・レーシング・グリーン である。2024年からは旧スポンサーの「コグニザント」が外れ、現名称に改められた。

第一次アストンマーティン時代(1959〜1960年)

アストンマーティンが最初にF1グリッドに姿を現したのは 1959年 である。当時のオーナー、デヴィッド・ブラウン(David Brown)は、ル・マン24時間レースで 1959年に総合優勝(DBR1/キャロル・シェルビー、ロイ・サルヴァドーリ組)を果たしたばかりで、その勢いをF1にも持ち込もうとした。

投入されたマシンは DBR4/250。フロントエンジン2.5L直6を積んだ設計だったが、デビュー時にはクーパーやBRMが既にミッドシップ革命を起こしており、車体構造そのものが時代遅れになっていた。1959年は4戦に参戦し、英国GPでサルヴァドーリが6位入賞を記録するのが精一杯。1960年には新車 DBR5 を投入したが2戦のみで結果も伴わず、シーズン途中でF1から撤退した。計6戦・最高6位・コンストラクターズポイントゼロ という結果は、後年の現チームとは完全に切り離して理解する必要がある。

現チームの真の起源 — ジョーダン・グランプリ(1991〜2005年)

2021年にF1へ「復帰」した現アストンマーティンは、組織的にも法的にも 1991年に創設されたジョーダン・グランプリ を起源とする。創設者はアイルランド人実業家 エディ・ジョーダン。本拠地は英シルバーストン隣接のシルバーストン・パーク(現AMRキャンパスの隣)で、現在のアストンマーティンと同じ立地に据えられている点は象徴的だ。

ジョーダンは中堅チームながら強い記憶を残した。1998年ベルギーGPで雨に翻弄されたスパ・フランコルシャンでデイモン・ヒルが優勝、ラルフ・シューマッハが2位というワンツーフィニッシュでチーム初優勝を達成。1999年 にはハインツ=ハラルド・フレンツェンがドライバーズランキング3位、チームもコンストラクターズ3位に入る黄金期を迎えた。中島悟、佐藤琢磨らの起用で日本のF1ファンにも親しまれた存在である。

暗黒の中継期 — ミッドランド/スパイカー/フォースインディア(2006〜2018年)

2005年シーズン終了後、エディ・ジョーダンはチームをロシア系カナダ人の アレックス・シュナイダー に売却。2006年は MF1レーシング(ミッドランド)、2007年は スパイカーF1チーム と短期間で名称が変わった末、2008年から フォースインディア として再出発する。

新オーナーはインドの実業家 ヴィジェイ・マリヤ(キングフィッシャー航空CEO)。限られた予算ながら、メルセデス製エンジンと有能なエンジニア陣で「中団最強」の地位を築いた。歴史的瞬間が 2009年ベルギーGP。ジャンカルロ・フィジケラがポールポジションを獲得し、決勝は2位フィニッシュ ── チーム史上最高位の瞬間であり、後の躍進の序章となった。セルジオ・ペレス、ニコ・ヒュルケンベルグ、エステバン・オコンらがここで中団エースに育った。

しかし2018年、マリヤがインドでの脱税問題で英国に逃亡し資産凍結。チームは7月に経営破綻し管財人管理に置かれる。同年8月、カナダ系実業家ローレンス・ストロールが率いるコンソーシアムが資産を取得し「レーシングポイント・フォースインディア」として残りシーズンを戦った。2019年には新会社「レーシングポイントF1チーム」として正式に再出発。2020年には全パネルがピンクの「ピンク・メルセデス」と呼ばれた RP20 が論争を呼びつつもサヒールGPでペレスが優勝し、コンストラクターズ4位を獲得した。

アストンマーティン復活(2021年〜)

2021年、ローレンス・ストロールは自身が経営に深く関与する英スポーツカーブランド「アストンマーティン・ラゴンダ」のF1進出を実現させ、チーム名を 「アストンマーティン・コグニザント・F1チーム」(当時)に改めた。62年ぶりのF1コンストラクター名としての復活である。初年度はセバスチャン・ベッテルとランス・ストロール(ローレンスの実子)の布陣で挑むも、コンストラクターズ7位(77ポイント)に終わった。

転機は2022年からの 大規模インフラ投資。シルバーストン本拠地に総工費2億ポンド超とされる新ファクトリー 「AMR Technology Campus」(35,000㎡、3棟構成、最大1,000人収容)の建設を開始。同時に旧式だった共有ウィンドトンネルから脱却するため 独自の60%スケール風洞 を建設し、2024年12月に正式運用を開始した。チームスタッフも800人規模まで拡充され、「中団チーム」から「タイトル挑戦チーム」への組織的脱皮が一気に進んだ。

2023年「奇跡のシーズン」 — アロンソが見せた本気

2023年、ストロールは大きな賭けに出る。長年フェラーリやマクラーレンで戦ってきた 2度のワールドチャンピオン、フェルナンド・アロンソ(当時41歳)と複数年契約を締結したのである。多くの専門家が「往年の力は残っているが、4位狙いがせいぜい」と予想していたが、結果は驚きだった。

開幕戦バーレーン、第2戦サウジアラビア、第3戦オーストラリアで 3戦連続表彰台。第5戦マイアミ、第6戦モナコ、第8戦カナダでも表彰台に立ち、シーズン序盤8戦中6回表彰台 という驚異の安定感を示した。最終的にアロンソは シーズン通算8回の表彰台(2位3回、3位5回)を獲得、ドライバーズランキング4位、チームもコンストラクターズ4位(280ポイント)でフィニッシュ。前年の55ポイントから5倍以上の躍進を遂げた。「アストンマーティンの奇跡」と呼ばれたこのシーズンが、現体制の到達可能性を世界に示したのである。

2024年の苦戦と次世代への布石

2023年の成功を受けて期待された2024年は、しかし苦戦の年となった。投入された AMR24 は重心位置や空力プラットフォームに本質的な弱点を抱え、レッドブル・マクラーレン・フェラーリ・メルセデスの後塵を拝した。シーズン通算94ポイント、コンストラクターズ5位。アロンソの表彰台はゼロに終わり、2023年からの大幅な後退となった。

しかしストロールは長期戦略で動いていた。2024年中に発表された人事は、F1界に衝撃を与えた:

  • エイドリアン・ニューウェイ — レッドブルで4度のコンストラクターズ王座を支えた史上最高の空力デザイナー。2024年9月10日に加入発表、肩書は Managing Technical Partner 兼チーム株主、2025年3月から始動。
  • アンディ・コーウェル — メルセデスHPPの元代表でメルセデスPU黄金期の立役者。Group CEOとしてチーム全体を統括。
  • エンリコ・カルディーレ — 元フェラーリ技術ディレクター。2024年加入。
  • ボブ・ベル — 元ルノー/メルセデス/マクラーレンの重鎮。技術統括として復帰。

「タイトルを狙えるオールスター技術陣」がストロールの号令の下に集結した。2024年の成績悪化は表面的事象であり、水面下では2026年の本格挑戦に向けた地ならしが進んでいたといえる。

2026年新規定 — ホンダPUを得たアストンマーティンの戦略

2026年からF1パワーユニットは大規模なレギュレーション改定を迎える。1.6L V6ターボに残存する内燃機関と、出力比率が 約50%まで引き上げられる電動部(MGU-K)、そして 100%カーボンニュートラル e-fuelの使用が義務化される。事実上「半電動」となるこの新規定で、PUの開発力がそのままチーム順位を決めるとされる。

アストンマーティンは2026年から ホンダ・レーシング・コーポレーション(HRC) と独占PU供給契約を締結。ホンダは2015年復帰以来マクラーレン・トロロッソ・レッドブルと組み、2021年にはレッドブル+フェルスタッペンでドライバーズタイトルを獲得した実績を持つ。2025年限りでレッドブル・パワートレインズが独自PUに移行するため、ホンダにとってアストンマーティンは「全力投球できる新パートナー」となる。

シャシー側は ニューウェイ+カルディーレ という現代F1史上最強クラスの設計コンビ、PU側は ホンダの戦闘力実績、運営側は コーウェル、ドライバーは アロンソ+ランス・ストロール。要素が揃った上に資金面でもストロール会長が継続コミットしている ── 2026年は『チームが本気で勝ちに行く最初の年』 として位置づけられている。

AMR Technology Campus — 名門の心臓部

シルバーストン・サーキット北側に建つ AMR Technology Campus は3棟構成の最先端施設である。2023年に「Building 1(メイン社屋・空力解析・組立)」が完成、2024年に「Building 2(ウィンドトンネル)」、2025年に「Building 3(マーケティング・展示棟)」が順次稼働。独自ウィンドトンネルの保有 は、長らくメルセデスの旧トンネルを借用していた弱点を解消するもので、2026年マシン開発から本格的に効果が現れる見込みである。

ドライバー布陣と次世代

2026年シーズンは フェルナンド・アロンソ(45歳・契約は2026年まで)と ランス・ストロール(27歳)の体制で挑む。アロンソの「F1最後の本気挑戦」と、息子ランスを早期にチャンピオンに育てたいローレンスの「父としての願い」 ── 個人的物語が複数重なる稀有なチームでもある。リザーブには フェリペ・ドルゴビッチ や ジャック・クロフォード が控え、F2/F3との育成パイプラインも徐々に構築中だ。

日本からF1観戦

2026年シーズンの日本でのF1中継は3チャネル体制:フジテレビNEXT が全戦の予選・決勝・FP1〜FP3を専門チャンネル+オンデマンド(FOD)で完全配信。② FOD F1プラン(チャンピオンコース)は2026年から国内正式配信、月額¥5,900で全24戦ライブ+4K HDR・マルチビュー・オンボードカメラ・チームラジオなど F1 TV Premium 同等のフルデータ視点でレースを楽しめる。③ Amazon Prime Video では Netflix シリーズ「Drive to Survive」最新シーズンが配信され、アストンマーティン(ストロール父子・アロンソ・ニューウェイ加入)の舞台裏ドキュメンタリーが視聴できる。

📚 アストンマーティン躍進の技術背景を理解する一次資料:エイドリアン・ニューウェイ自伝『HOW TO BUILD A CAR』(KADOKAWA) / Yahoo! は、ニューウェイ自身が手がけた歴代F1マシン設計を語る600ページ超の必読書。アストンマーティン加入後の戦略を読み解く土台になる。
📖 開幕前定番:『F速 2025 総集編』(三栄/Kindle) / Yahoo! で前年シーズンを総復習しておくと、2026年新規定の理解が深まる。

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まとめ — 「62年ぶりの本気」が花開く年

アストンマーティンの歴史は、1959年の第一次参戦という「象徴的な始まり」、ジョーダン・フォースインディアという「中堅の30年」、ストロール買収による「再生の5年」、そして2026年から始まる「タイトル挑戦期」という4つの章で構成される。チーム名は変わり続けたが、シルバーストン隣接という土地の連続性、そしてグリーンの誇りは1991年から変わらない。

ニューウェイ・コーウェル・カルディーレが揃い、ホンダPUを得て、ストロールの資金が継続的に注ぎ込まれる ── 「揃うべきものが揃った」状態で迎える2026年は、アロンソにとってのキャリア最終章であると同時に、アストンマーティンというブランドにとってもF1史に名を残せるかどうかの分水嶺となる。

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出典・参考情報

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