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【名場面】“最後の椅子”を争いに行く ―長崎ヴェルカ初優勝の立役者イ ヒョンジュン、B1トップの3P成功率47.9%を携えてNBAキャンプへ(ブレイザーズとエグジビット10契約)

投稿日:2026年09月12日 約26分で読める 初心者向け
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  • 【名場面】“最後の椅子”を争いに行く ―長崎ヴェルカ初優勝の立役者イ ヒョンジュン、B1トップの3P成功率47.9%を携えてNBAキャンプへ(ブレイザーズとエグジビット10契約)の要点を短時間で把握できます。
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  • 執筆 SportsPulse編集部|最終更新 2026年9月1
執筆 SportsPulse編集部|最終更新 2026年9月12日|編集部レビュー済み編集方針 ›

2026年9月7日、長崎ヴェルカの公式サイトに1本のリリースが出ました。タイトルは「イ ヒョンジュン 選手 退団のお知らせ」。B1を初制覇したチームの、その中心にいた背番号5が、クラブを離れるという知らせです。

ただ、そのリリースには続きがありました。「イ選手はNBAポートランド・トレイルブレイザーズと2026-27シーズンに向けたエグジビット10契約に合意した」——。

この記事では、その「エグジビット10契約」が何を意味するのかを、できるだけ正確にほどいていきます。結論から言うと、これは「NBA入り決定」のニュースではありません。けれど、だからこそ書いておきたい物語でもあります。Bリーグを観はじめたばかりの方や、お子さんと一緒に読む方にも分かるように書きました。

先に結論(4行)

(1) 2026年9月7日、長崎ヴェルカがイ ヒョンジュン選手の契約満了・退団を発表。同時に、NBAポートランド・トレイルブレイザーズと2026-27シーズンに向けたエグジビット10契約に合意したことも公表した(クラブ公式)。

(2) エグジビット10はトレーニングキャンプに参加するための無保証契約。開幕ロースター入りは確約されない。「NBA入りが決まった」わけではない。

(3) 彼は2025-26シーズンのB1で3P成功率47.9%=リーグ1位。B.LEAGUE公式の「B1 ベスト3P成功率賞」「B1 レギュラーシーズンベストファイブ」「B1 アジア特別賞」、そしてチャンピオンシップMVPを受賞している。

(4) 長崎ヴェルカの2026-27シーズン開幕戦は9月23日(水)19:05・ハピネスアリーナ・vs 島根(クラブ公式日程)。王者は、その中心にいた選手なしで新シーズンに入る。

1. 2026年9月7日、長崎が出した1本のリリース

まず、一次情報をそのまま読みます。長崎ヴェルカ公式サイトのリリース(2026年9月7日付)には、こう書かれています。

「長崎ヴェルカはイ ヒョンジュン 選手との契約が満了となり、退団することをお知らせいたします。」

「また、イ選手はNBAポートランド・トレイルブレイザーズと2026-27シーズンに向けたエグジビット10契約に合意したことも併せてお知らせいたします。」

同じリリースには、伊藤拓摩ゼネラルマネージャーのコメントも掲載されています。

「この度、イ ヒョンジュン選手をB.LEAGUE自由交渉選手リストへ公示いたしました。イ選手が入団当初から掲げている夢でもある”NBA挑戦”を長崎ヴェルカ一同、最大限応援したいと思います。引き続きイ選手への温かな応援をよろしくお願いいたします。なお、クラブとしてはイ選手に代わるアジア枠選手の獲得に向けて候補となる選手との契約交渉を進めて参ります。」

ここに書かれている事実は3つです。①契約満了で退団した ②ブレイザーズとエグジビット10契約に合意した ③クラブは代わりのアジア枠選手を探している。この3つ以外のことは、公式には何も書かれていません。

そして、同じリリースに載っているプロフィールも押さえておきます。ポジションはSF(スモールフォワード)、生年月日は2000年10月23日、身長201cm・体重95kg、出身は大韓民国、出身校は米国のデイビッドソン大学で、2022年NBAドラフトにアーリーエントリーしています。

2. 47.9% ― この数字の中身

次に、彼が長崎で何をしたのかを数字で見ます。

バスケットボールキングの記事(B.LEAGUE公式サイトにも転載)によれば、2025-26シーズンのB1リーグ戦で57試合に出場し、1試合平均29分39秒のプレータイムで17.4得点・5.6リバウンド・2.7アシスト・1.2スティールを記録。そして3ポイントシュート成功率47.9%はリーグトップだったと報じられています。

この「リーグトップ」という部分は、B.LEAGUE公式でも裏が取れます。「B.LEAGUE AWARD SHOW 2025-26」のりそなグループ B.LEAGUE 2025-26 SEASON B1 ベスト3P成功率賞の受賞者が、#5 イ ヒョンジュン(長崎ヴェルカ)だからです。

この賞、決定方法にも条件があります。公式サイトにはこう書かれています。「レギュラーシーズンの3Pシュート成功率が最も高い選手 ※各チーム実施試合数における1試合平均3Pシュート成功数1.5本以上の選手が対象」。つまり「たまたま数本決まって確率が高い」人は対象外で、シーズンを通して撃ち続けた選手だけが並ぶランキングだということです。

編集部の独自集計①:ベスト3P成功率賞、10シーズンの受賞者を数えてみた

B.LEAGUE公式のアワード特設サイトに掲載されている「B1 ベスト3P成功率賞」の歴代受賞者一覧(2016-17〜2024-25の9シーズン)に、2025-26のイ ヒョンジュンを加えて編集部で数えました。

・対象:10シーズン(2016-17〜2025-26)/延べ10人

・実人数:8人(金丸晃輔/喜多川修平/石井講祐/松井啓十郎/狩野祐介/ニック・ケイ/比江島慎/イ ヒョンジュン)

・複数回受賞:2人だけ(狩野祐介=2020-21・2021-22、比江島慎=2023-24・2024-25)

※B.LEAGUE公式が公開している歴代受賞者テーブルを編集部が集計したものです。取材・独自調査に基づくものではありません。

10年で8人しか名前が載っていない賞です。そこに、Bリーグ2年目の韓国代表選手が入りました。

個人賞はこれだけではありません。B.LEAGUE公式によれば、彼はB1 レギュラーシーズンベストファイブ(富永啓生/ジャレット・カルバー/D.J・ニュービル/イ ヒョンジュン/スタンリー・ジョンソン)にも選ばれ、さらにB1 アジア特別賞(レギュラーシーズンで最も活躍したアジア特別枠の選手1名)も受賞しています。アジア特別賞の歴代受賞者は2023-24のサーディ・ラベナ(三遠)、2024-25のレイ・パークスジュニア(大阪)で、彼が3人目です。

そして、MVP投票。B.LEAGUE公式が公開している投票結果を見ると、B1レギュラーシーズンMVPはD.J・ニュービル(宇都宮)の1,094ポイント。イ ヒョンジュンは996ポイントで3位でした。2位は同じ長崎のスタンリー・ジョンソン(1,060ポイント)です。

編集部の独自集計②:MVP投票の「長崎占有率」

B.LEAGUE公式が公開しているB1 MVP投票結果の上位10名のポイントを、編集部で合計しました。母集団は「公表されている上位10名」に限ります(11位以下は非公開のため対象外)。

・上位10名の合計 …… 5,619ポイント(1094+1060+996+869+446+353+352+221+134+94)

・うち長崎ヴェルカの3選手 …… 2,150ポイント(ジョンソン1,060+イ996+馬場94)

・占有率 …… 約38.3%。上位5名のうち2名、上位10名のうち3名が長崎の選手でした。

※B.LEAGUE公式の公開データから編集部が計算したものです。取材・独自調査に基づくものではありません。

チームとしての強さが、そのまま個人票に出ていた、ということです。ちなみにベスト6thマンはスタンリー・ジョンソン、ベストディフェンダー賞は馬場雄大、最優秀ヘッドコーチ賞はモーディ・マオール——いずれも長崎。セカンドチームにも馬場雄大が入っています。

3. 5月26日、横浜アリーナ ― 23得点とMVP

その集大成が、2026年5月26日でした。

B.LEAGUE公式のリリース(2026年5月26日付)によれば、この日、横浜アリーナで行われた「りそなグループ B.LEAGUE FINALS 2025-26」GAME3の結果、長崎ヴェルカがB.LEAGUE 2025-26シーズンの年間チャンピオン(初優勝)になりました。そして「りそなグループ B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2025-26最優秀選手賞(MVP)」に #5 イ ヒョンジュン選手が、ファイナルで最も印象的なプレーをした選手に贈られる「ファイナル賞」に #18 馬場雄大選手が選ばれています。

3試合の結果は、公式リリースに全部載っています。

試合 日時 スコア(長崎 - 琉球) 結果
GAME1 2026年5月23日(土)14:30 69 - 71 ●
GAME2 2026年5月24日(日)13:05 66 - 60 ○
GAME3 2026年5月26日(火)19:05 72 - 64 ○(初優勝)
3試合合計 ― 207 - 195(1試合平均 69.0 - 65.0/編集部が公式スコアから合計)

2戦先勝方式で、初戦を落としてからの逆転優勝でした。B.LEAGUE公式のB.MAGAZINEによれば、GAME3を見守った観客は13,235人。長崎はりそなグループ B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2025-26初出場で、Bリーグ参入5年目にして初のB1チャンピオンになりました。

そのGAME3で、イ ヒョンジュンはチーム最多の23得点を挙げています。B.MAGAZINEの試合レポートを追うと、第1クォーターにフリースローでチームの初得点を挙げ、ターンオーバーから3Pプレーにつなげ、終了間際にも3Pを沈めて17-10とリードを作った。第4クォーター残り21秒には、プレッシャーのかかる場面でフリースロー2本を沈めて71-64にしています。

優勝直後のオンコートインタビューで、彼はこう話しました。

「まず素晴らしいチームメイトがいなかったら、これほどの数字を残すことはできませんでした。みんなが私を信じてくれて、良いスクリーンをしっかりとかけ、良いパスを供給してくれたからこそ、シュートが入ったのだと思っています。すべてはチームメイトのおかげです。私のこの数字はチーム全員で作り上げたものであり、まさに『チームの賞』だと思っています。」(B.LEAGUE公式 B.MAGAZINE/MVPインタビュー)

47.9%という数字について本人が語った、たぶん唯一の公式コメントです。「自分のシュートが良かった」とは、一言も言っていません。

編集部の独自集計③:レギュラーシーズンとチャンピオンシップで、何が変わったか

バスケットボールキングが報じた2つの平均値(レギュラーシーズン57試合/チャンピオンシップ)を、編集部で引き算しました。

・得点 …… 17.4 → 19.4(+2.0)

・リバウンド …… 5.6 → 6.7(+1.1)

・アシスト …… 2.7 → 1.6(−1.1)

短期決戦になるほど得点とリバウンドの負担が増え、パスを配る役割は減った——数字の上ではそう読めます。なお、チャンピオンシップの出場試合数は一次情報で確認できなかったため、本集計では試合数を扱っていません。

※公開されている平均値の差分を編集部が計算したものです。取材・独自調査に基づくものではありません。

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4. 「エグジビット10契約」とは何なのか

ここからが、この記事のいちばん大事なところです。

エグジビット10契約は、「NBAの選手になった」という契約ではありません。NBAの労使協定(CBA)にもとづく最低年俸・1年・無保証の契約に付く条項で、ざっくり言えば「トレーニングキャンプに来て、席を争っていい」という招待状です。

バスケットボールキングやDAZN Newsは今回の合意を報じるなかで、この契約について次のように説明しています。①最低年俸・無保証であること ②シーズン開幕前にツーウェイ契約へ切り替えることが可能であること ③ウェイブ(解雇)された後にそのチームの提携Gリーグチームに一定期間所属した場合、ボーナスを受け取れること——。ポートランドの提携Gリーグチームは「リップシティ・リミックス」です。

3つの契約の違いを、表にしておきます。

項目 エグジビット10 ツーウェイ契約 標準(本)契約
ひとことで言うと キャンプへの招待状 NBAとGリーグの二重在籍 正規のNBA選手
開幕ロースター枠 含まれない(争う立場) 15人枠の外/別枠で最大3人 15人枠の中
保証 無保証(いつでも解除されうる) 規定の報酬あり 契約内容による(完全保証もある)
次の展開 開幕前にツーウェイへ転換されうる/解除後に提携Gリーグ入りでボーナス シーズン中に標準契約へ昇格することがある ―
今回の位置づけ イ ヒョンジュンが合意したのは、この左端の「エグジビット10」。ここから2つ右の列へ進めるかどうかが、これからの話。

※ロースター枠の数値はHoops Rumors「2026/27 NBA Roster Counts」の記述、契約の性質はバスケットボールキング/DAZN Newsの報道に基づく整理です。金額(最低年俸・ボーナス額)は一次情報で確認できなかったため記載していません。

5. 「椅子」は何脚あるのか

では、彼が争う席は、実際に何脚あるのか。

Hoops Rumorsの解説によれば、NBAのルールはこうです。レギュラーシーズン中のロースターは標準契約15人まで。これに加えてツーウェイ契約を最大3人まで保有できる。オフシーズンとトレーニングキャンプは最大21人まで(ツーウェイ選手もこの21人に含まれる)。

つまり、企画段階で使われていた「10番目の椅子」という言い方は、実際の枠数とは対応していません。正確には「15脚+3脚」の椅子を、キャンプに集まる最大21人で争う——それがエグジビット10契約の選手が置かれた場所です。

そして、ポートランドの現状。Hoops Rumorsの「2026/27 NBA Roster Counts」は2026年9月8日時点で、ポートランド・トレイルブレイザーズ=標準契約15人(うち完全保証は12人)、ツーウェイ3人、合計18人と記載しています。

この数字が意味していること(編集部の読み)

・標準契約15人枠は、9月8日時点ですでに埋まっている。ツーウェイ3枠も埋まっている。

・キャンプの上限21人から18人を引くと、残りは3人分。エグジビット10の選手は、そこに入ってキャンプを戦うことになる。

・ただし15人のうち完全保証は12人。裏を返せば3人は完全保証ではない。開幕までに構成が動く余地は、この3枠にある。

※Hoops Rumorsは「エグジビット10契約は正式成立するまでロースター数に計上しない」と明記しているため、上記の18人にイ選手は含まれていません。また同サイトは二次情報であり、数字は2026年9月8日時点のものです。以降の補強・解除で変動します。

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「無保証」という言葉は冷たく聞こえますが、要するに「まだ何も約束されていない」ということです。約束されていないところに行く、という選択をした。それが今回のニュースの中身です。

6. 彼はすでに、一度ブレイザーズのユニフォームを着ている

ここで、少し前の話をさせてください。

長崎ヴェルカ公式のリリースに載っている経歴を、そのまま並べます。2018年・2019年はオーストラリアのBAセンター・オブ・エクセレンス、2019-22年はデイビッドソン大学(NCAA1部)、2022-23年はNBA Gリーグのサンタクルーズ・ウォリアーズ、2023年はフィラデルフィア・76ersのサマーリーグ、2023-24年はオーストラリアNBLのイラワラ・ホークス、2024年は大阪エヴェッサとポートランド・トレイルブレイザーズ(NBAサマーリーグ)、2024-25年は再びイラワラ・ホークス、そして2025-26年が長崎ヴェルカ。

お気づきでしょうか。2024年のサマーリーグで、彼はすでにポートランドのユニフォームを着ています。

さらにその先もあります。B.LEAGUE公式に転載されたバスケットボールキングの記事(2026年6月4日)によれば、彼は2026年のサマーリーグにはサンアントニオ・スパーズの一員として参加しました。同記事は「NBAサマーリーグに出場するのは、2023年のフィラデルフィア・セブンティシクサーズ、2024年のポートランド・トレイルブレイザーズに続いて3度目」と伝えています。

つまり2026年9月の合意は、いきなり降ってきた話ではありません。2023年、2024年、2026年とサマーリーグを踏み、Gリーグを経験し、オーストラリアで戦い、Bリーグで王者になって、その2年後にもう一度ポートランドに戻ってきた——そういう順番です。

Bリーグでは、長崎の前に大阪エヴェッサに在籍していました(同記事も「大阪エヴェッサに続き、Bリーグ2チーム目となった長崎」と記しています)。日本での2クラブ目で、いきなりリーグ1位の3P成功率と年間王者とMVPを手に入れた。そして退団しました。

7. 王者は、9月23日に開幕する

一方の長崎ヴェルカです。

B.LEAGUE公式によれば、2026-27シーズンはB.PREMIER / B.ONE / B.NEXT の3層制(B.革新)の初年度にあたり、B.PREMIERは9月22日(火)のアルバルク東京 vs 琉球ゴールデンキングスで開幕します。開幕WEEKは9月27日(日)までです。ちなみに、2025-26シーズンはB.LEAGUE公式のB.MAGAZINEが「現行制度最後の王者」と書いた通り、旧制度で行われた最後のシーズンでした。長崎はその最後のB1王者ということになります。

そして長崎ヴェルカ公式の試合日程によれば、クラブの2026-27シーズン開幕戦は9月23日(水)19:05、ハピネスアリーナで島根スサノオマジック戦。9月25日(金)19:05にも同じカードが組まれています。9月23日の試合はバスケットLIVEとNHK(BS)で中継予定です。

王者は、CS-MVPと、リーグ1位の3Pシューターと、アジア枠の1枚を同時に失った状態で新シーズンに入ります。伊藤GMのコメントにあった通り、クラブは代わりのアジア枠選手の獲得交渉を進めている段階です(9月9日時点で、後任は発表されていません)。

8. 開幕前に、この話をしておきたかった理由

「NBAに挑戦します」というニュースは、たいてい景気よく流れていきます。けれど今回のように無保証・ロースター確約なしの契約だと、数週間後に「解除されました」という続報が出ることも普通にあります。それは失敗ではなく、この制度がそもそもそういう設計だからです。

だから、開幕前のいま、正確に書いておきたいと思いました。彼はまだNBA選手になったわけではありません。彼は、なるための場所に立つ権利を得ました。ここを混ぜてしまうと、もし来月「ウェイブ」と報じられたときに、その挑戦がなかったことになってしまいます。

お子さんとバスケを観ている方には、たぶんこの話のほうが役に立ちます。「選ばれた」と「勝ち取った」は違うし、「挑戦を認められた」と「成功した」も違う。どこまでが確定で、どこからが未確定なのか。それを自分で区別できるようになることは、スポーツを観る力であると同時に、たぶん、生きていくうえでの力でもあります。

5月26日の横浜アリーナで、彼は「私のこの数字はチーム全員で作り上げたもの」と言いました。その人が、9月には保証のない場所へ一人で向かいます。うまくいくかどうかは、9月9日時点では誰にも分かりません。分からないまま応援できるのが、たぶんスポーツのいいところです。

よくある質問(FAQ)

Q1. 結局、イ ヒョンジュン選手はNBAの選手になったのですか?

いいえ、まだ決まっていません。長崎ヴェルカ公式が発表したのは「ポートランド・トレイルブレイザーズと2026-27シーズンに向けたエグジビット10契約に合意した」という事実です。エグジビット10はトレーニングキャンプに参加するための無保証契約で、開幕ロースター入りは確約されていません。「NBA入り決定」ではなく「NBAキャンプで席を争う権利を得た」と理解するのが正確です。

Q2. 「エグジビット10」と「ツーウェイ契約」は何が違うのですか?

エグジビット10は最低年俸・1年・無保証の契約に付く条項で、実質的にはキャンプへの招待です。ツーウェイ契約はNBAと傘下のGリーグの両方に所属する契約で、標準契約15人枠とは別枠で最大3人まで保有できます。報道によれば、エグジビット10はシーズン開幕前にツーウェイ契約へ切り替えることが可能で、解除された後に提携Gリーグチーム(ポートランドの場合はリップシティ・リミックス)に一定期間所属するとボーナスを受け取れる仕組みもあるとされています。金額については一次情報で確認できなかったため、本記事では扱いません。

Q3. NBAの「椅子」は何脚あるのですか?

Hoops Rumorsによれば、レギュラーシーズン中のロースターは標準契約15人+ツーウェイ契約3人。オフシーズンとトレーニングキャンプは最大21人で、ツーウェイ選手もこの21人に含まれます。したがって「10番目の椅子」という表現は実際の枠数とは対応していません。同サイトの2026年9月8日時点の集計では、ポートランドは標準契約15人(うち完全保証12人)+ツーウェイ3人=18人です(エグジビット10契約は正式成立まで計上されないため、この18人にイ選手は含まれていません)。

Q4. 3P成功率47.9%は、どのくらいすごい数字ですか?

2025-26シーズンのB1でリーグ1位です。B.LEAGUE公式の「B1 ベスト3P成功率賞」を受賞しています。この賞は「1試合平均3Pシュート成功数1.5本以上」の選手だけが対象になるため、試投数の少ない選手が確率だけで受賞することはありません。編集部が公式の歴代受賞者一覧を数えたところ、2016-17〜2025-26の10シーズンで受賞者は延べ10人・実人数8人。うち複数回受賞は狩野祐介と比江島慎の2人だけでした。

Q5. 長崎ヴェルカは2026-27シーズン、どのリーグで戦うのですか?

B.PREMIERです。2026-27シーズンからB.LEAGUEは「B.革新」によりB.PREMIER / B.ONE / B.NEXTの3層制へ移行しました。B.PREMIERは2026年9月22日(火)のアルバルク東京 vs 琉球ゴールデンキングスで開幕し、開幕WEEKは9月27日(日)まで。長崎ヴェルカの開幕戦はクラブ公式日程によれば9月23日(水)19:05、ハピネスアリーナでの島根スサノオマジック戦です。新しい階層の仕組みは新Bリーグは「PREMIER・ONE・NEXT」の3階層 まるわかりガイドで解説しています。

Q6. 長崎ヴェルカというクラブについてもっと知りたいのですが

長崎ヴェルカ 完全ガイドにクラブの成り立ち・ホームアリーナ・観戦の基本をまとめています。育成組織については長崎ヴェルカ アカデミー(育成組織)ガイドをどうぞ。リーグ全体の見取り図はB.LEAGUE HUBから辿れます。

まとめ

2026年9月7日、長崎ヴェルカがイ ヒョンジュン選手の退団と、ポートランド・トレイルブレイザーズとのエグジビット10契約合意を発表しました。B1で3P成功率47.9%=リーグ1位、ベストファイブ、アジア特別賞、そしてチャンピオンシップMVP。クラブの初優勝の中心にいた選手が、無保証の契約でNBAのキャンプへ向かいます。

椅子は15脚+3脚。キャンプに集まるのは最大21人。9月8日時点で、ポートランドの標準契約枠はすでに15人で埋まっています。決まっていることは何もありません。

それでも、9月23日にハピネスアリーナで新シーズンが始まるとき、あの背番号5がコートにいないという事実だけは残ります。いなくなった理由が「もっと上を目指したから」だというのは、送り出す側にとって、たぶんいちばん納得のいく理由です。

関連記事

出典

一次情報(すべて2026年9月9日確認)

・長崎ヴェルカ 公式サイト「イ ヒョンジュン 選手 退団のお知らせ」(2026年9月7日) https://www.velca.jp/news/detail/id=50916 /退団の事実・エグジビット10契約合意・プロフィール(生年月日/身長体重/出身校)・経歴・伊藤GMコメント

・長崎ヴェルカ 公式サイト「試合日程(2026-27/9月)」 https://www.velca.jp/schedule/list/ /9月23日(水)19:05・9月25日(金)19:05 ハピネスアリーナ vs 島根、中継予定

・B.LEAGUE 公式サイト「りそなグループ B.LEAGUE 2025-26シーズン 年間チャンピオン決定のお知らせ」(2026年5月26日) https://www.bleague.jp/news_detail/id=613811 /長崎の年間チャンピオン(初優勝)・CS MVP=イ ヒョンジュン・ファイナル賞=馬場雄大・FINALS全3試合の日時とスコア

・B.LEAGUE 公式サイト B.MAGAZINE「長崎ヴェルカがBリーグ参入5年目でB1王者に! 激闘のGAME3を制し新王者が誕生」(2026年5月26日) https://www.bleague.jp/bmagazine/detail/id=613763 /GAME3の経過・入場者数13,235人・イのチーム最多23得点・MVPオンコートインタビュー・「現行制度最後の王者」の記述

・B.LEAGUE 公式「B.LEAGUE AWARD SHOW 2025-26 個人表彰」 https://www.bleague.jp/award-show/2025-26/individual-award/ /B1ベストファイブ・アジア特別賞(歴代含む)・MVP投票結果上位10名のポイント・最優秀ヘッドコーチ賞・B1年間優勝

・B.LEAGUE 公式「B.LEAGUE AWARD SHOW 2025-26 リーダーズ表彰」 https://www.bleague.jp/award-show/2025-26/leaders-award/ /B1 ベスト3P成功率賞の受賞者・決定方法(1試合平均3P成功数1.5本以上)・歴代受賞者一覧

二次情報(すべて2026年9月9日確認)

・バスケットボールキング「長崎がイヒョンジュンの退団発表…ブレイザーズとE10契約、“夢のNBA挑戦”へ伊藤GM「最大限応援したい」」(2026年9月7日) https://basketballking.jp/news/japan/20260907/631209.html /エグジビット10=最低年俸・無保証、ツーウェイ転換可、Gリーグ加入によるボーナス、レギュラーシーズン/チャンピオンシップの平均スタッツ

・DAZN News「長崎がイヒョンジュンの退団を発表…NBA挑戦、ブレイザーズとエグジビット10契約|Bリーグ」(2026年9月7日/Yahoo!ニュース) https://news.yahoo.co.jp/articles/069b0209fbc75ef73f8d1eee1bf6abb421f34cf4 /エグジビット10契約の性質

・長崎新聞「長崎ヴェルカのイ・ヒョンジュン退団 B1初優勝に大きく貢献、米NBAキャンプ契約に合意」(2026年9月7日/Yahoo!ニュース) https://news.yahoo.co.jp/articles/5d44a78662b1ac3b03dd9230058d7abc4f22b54b /B1初優勝への貢献・「キャンプ契約」という位置づけ

・バスケットボールキング「長崎ヴェルカのイヒョンジュンがスパーズの一員としてサマーリーグ出場へ…自身3度目の参戦」(2026年6月4日/B.LEAGUE公式サイト掲載) https://www.bleague.jp/media_news/detail/id=614011 /2025-26のレギュラーシーズン57試合の平均スタッツ・3P成功率47.9%(リーグトップ)・CSの平均スタッツ・サマーリーグ出場歴(2023年76ers/2024年ブレイザーズ/2026年スパーズ)・「大阪エヴェッサに続きBリーグ2チーム目」

・バスケットボールキング「長崎ヴェルカのイヒョンジュンがBリーグアジア特別賞を受賞…驚異の3P成功率で優勝に貢献」(2026年5月29日) https://basketballking.jp/news/japan/20260529/615595.html /アジア特別賞受賞・韓国出身選手として初

・Hoops Rumors「2026/27 NBA Roster Counts」(2026年7月22日公開/2026年9月8日更新) https://www.hoopsrumors.com/2026/07/2026-27-nba-roster-counts.html /NBAのロースター規定(レギュラーシーズン15人+ツーウェイ3人、オフシーズン/キャンプ最大21人)・ポートランドの人数内訳(標準15人/うち完全保証12人・ツーウェイ3人・計18人)・エグジビット10は正式成立まで計上しないという方針

本記事は、長崎ヴェルカ公式およびB.LEAGUE公式が公開している一次情報を軸に、報道各社の記事を突合したうえで SportsPulse 編集部が内容をレビューして構成しています。取材・インタビュー・独自調査に基づく記述は一切含みません。記事中の「編集部の独自集計」は、いずれも上記の公開データから編集部が計算したものです。エグジビット10契約は無保証であり、NBA開幕ロースター入りを保証するものではありません。ロースター人数は2026年9月8日時点、その他の記述は2026年9月9日時点の情報です。金額・為替に関する記述は行っていません。

更新日: 2026年9月9日

執筆: SportsPulse 編集部

最終更新日: 2026年9月12日 | 編集方針

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日付変更内容
2026年9月12日初回公開
✅ ファクト再検証

最終検証日:2026年9月12日

SportsPulse 編集部が公開情報をもとに内容を確認しています。情報は確認時点のものです。最新情報は各公式サイトをご確認ください。

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